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【OAK】クリスチャン・ベサンコートをTBにトレード

総評

OAK獲得
カル・スティーブンソン(Cal Stevenson) OF/AAA
クリスチャン・フェルナンデス(Christian Fernandez) SP/A

TB獲得
クリスチャン・ベサンコート(Christian Bethancourt) C/1B

TB有利のトレードとの印象です。ロスターから捕手があぶれかけていたA'sがベサンコートを整理し、捕手不足のTBが安価でそれを確保したトレードとなりました。

ベサンコート放出の背景には、A'sの嬉しい悲鳴とも言うべき潤沢な捕手事情がありました。A'sは捕手を整理する必要があったと言えます。
兼ねてからトレード候補に挙げられていた正捕手マーフィーは成績が奮わず、とてもトレードには出せない状況。AAAでは有望株シェア・ランガリアーズが十分な活躍を見せており、昇格は間近に迫っていました。

そんな中でマイナー契約からチャンスを掴んだべサンコートをトレードに出して利益を確定させ、さらにランガリアーズのスポットを確保するというのが今回のトレードの狙いだと思われます。

TB側は正捕手マイク・ズニーノが故障し、捕手の台所事情は逼迫していました。市場には他にもウィルソン・コントレラス(CHC)やTORの捕手陣(ジャンセン/カーク/モレノ)といった選択肢がありましたが、その中では安上がりで済み、伸びしろも見込めるべサンコートで手を打った格好です。

今はまだOPS.689に過ぎないベサンコートですが、打球速度をはじめとする期待値系指標は極めて優秀で、スタッツの良化に大きな期待が持てます。

なおかつベサンコートは流浪を繰り返していたため、未だに最低年俸で雇える選手です。残り契約の3年半で、今回TBが差し出した対価を補って余りある貢献を残す公算は非常に高いと思います。

今回の対価は、TBにとってはそこまで大きな損失ではありません

スティーブンソンは25歳のAAAの外野手で、既にルール5イリジブル。TBのメジャーでチャンスを得ることは叶わないであろう選手でした。
クリスチャン・フェルナンデスは今季Aで好投している投手ですが、投手王国TBの組織の中ではさほど優先順位が高い投手では無かったようです。

しかし、マイナー契約でベサンコートを拾ったという元手のことを考えれば、A'sにとってはどうあってもプラスのトレードです。ランガリアーズの昇格が控える中で、全員をキープするというのは土台無理な話だったというのもあります。
スティーブンソンとフェルナンデスも、惜しくもTBの分厚い組織からはあぶれかけの存在ではあったものの、A'sのマイナーデプスにとっては有用な補強となるはずです。

トレード全体の構図としては「掘り出し物を上手いこと見つけ、それでも下には有望株が控えているため、枠空けもかねて早々に利益を確定させる」という、まさにトレード相手のTBが得意とする手法の焼き写しのようでした。

再建初年度のA'sとしては、自前の若手選手の育成を待つ一方で、ベテラン選手の再生も進めて戦力化し、あるいは出荷してマイナーデプスを強くするというのは、再建の促進に欠かせないサイクルです。今回のベサンコートが皮切りとなることを願いましょう。



交換要員について

メインピースはどちらかといえば、投手のクリスチャン・フェルナンデスになるでしょう。粒ぞろいのTBのAクラスでも、今季は1,2を争うパフォーマンスの傑出度だったようです(元ドラ1のJJ ゴスらを凌ぐスタッツでした)。
”控え捕手の対価”として見れば、なかなかハイレベルな投手に思えます。

InFA上がりで、これまで特にプロスペクトとしてフィーチャーされる機会に恵まれてこなかったフェルナンデスですが、非常に洗練された印象を受ける投手です。

エフォートレスなデリバリーから、常時93mphのシュートホップ気味の速球をメインに、左打者にはチェンジアップ、右打者にはブレーキングボールを織り交ぜるスタイル。印象深いのは変化球の投球割合の多さで、どのカウントからでも自信を持って投じられるクオリティとコマンドを備えていました。
6フィート2インチの体格を活かす高いリリースポイントから投じられるブレーキングボールは、縦に鋭い変化を描き、プラスピッチとなる可能性があります。

個人的に思い起こすのは同じA's組織のコリン・ペルースです。ペルースより速球のクオリティは劣るでしょうが、変化球のクオリティは上だと思いました。フェルナンデスはトレードに伴ってA+に昇格する予定です。

良い投手プロスペクトなんてなんぼあってもいいですからね!


スティーブンソンの獲得は、プロスペクトの補充というよりも、メジャーレベルのデプス補充という都合が大きいのではないでしょうか。

スティーブンソンは典型的なリードオフタイプの第四の外野手です。優秀なアプローチ、パワーレス、プラスのCF守備と走塁というプロフィール。

選手としてのタイプもさることながら、再建期のチームでの立ち位置も含めて、ブーグ・パウエルを思い起こします。TBを経てからOAK入りした点も似ていますね。パウエルも大成こそしませんでしたが、再建期のチームの一翼を担いました。

スティーブンソンは、来年以降の第四の外野手として期待です。
というのも、現在チームでその位置を担う選手であるルイス・バレラとスカイ・ボルトは、オプションの関係上来年のチームにいる可能性がそう高くはありません。正確に言うと、ボルトは今季既にオプション切れでDFA目前、バレラは来年でオプションが切れます。
こういうタイプはロスターにいて困らないので、良い追加だと思いますね。


ベサンコートの栄転

ここからは感傷的なパート。

かつては有望株として鳴らしたものの、その後は二刀流挑戦など迷走していたベサンコートの復活劇は、一ファンとしては胸に来るものがありました。
控え捕手の選手が帯同できなかったトロント遠征で得た、代替選手としてのチャンスから、今やれっきとしたコンテンダーの主力にまで登りつめたわけです。ぜひとも、TBでは本格ブレイクまで繋げて、素晴らしいカムバックストーリーを継続してほしいものですね。


ベサンコートの空いたスポットに上がるのは

A'sはベサンコートの空いた枠に一塁手のデルミス・ガルシアを昇格させました。

ガルシアは元はNYYのプロスペクトでしたが、マイナーFAで今季からA'sに加入し、AAAで活躍を見せていました。

ダブルプラスのパワーツールが売りの選手ですが、昨年は三振率37.9%(!)を記録した三振の多さが出世を阻んできました。今年は29.2%とギリギリ人間レベルにまで三振を減らしたことが躍進に繋がりました。

このガルシアがダリン・ラフのようにプラトーン強打者の立ち位置に収まってくれると良いですね!

そう遠くない将来に迫っているランガリアーズの昇格も楽しみです。


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