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「もしも過去に戻れたら」なんて、誰しも人生において幾度となく考えることでしょう?あなたならどこへ戻りたいですか。


例えばそれは「高校2年の文化祭」かもしれない。意中の異性に勇気を出して誘い出し、2人きりで校内を巡った……そんな素敵な青春の思い出、戻りたいですね。

そんな思い出は無い?

ごめんなさい。


例えばそれは「家族と遊園地へ行った時」かもしれない。まだ若かった両親の手を、むしろ自分から引っ張って次はアレ、その次はコッチと親を困らせた記憶が甦ります。

そんな思い出は無い?

ごめんなさい。


例えばそれは「去年の誕生日」かもしれない。学生時代の友達を久々に家に呼んで、あることないことを語り尽くしながら、一晩中じっくりと酒を酌み交わしたあの最高の夜は忘れられません。

そんな思い出は無い?

ごめんなさい。


「もしも過去に戻れたら」どこに戻るのか。それを真剣に考えてみると、残念ながら大体の人は上記のような楽しい思い出より、失敗や後悔の方が先に出てきそうです。


「あんな事言わなきゃ良かった」

「これさえ無ければ」

「詰めが甘かったなぁ」


過去に戻って、後悔をしなくて済むようにしたい。もしも過去に戻れるなら、あの失敗をしないように予め勉強して対策したい。そんな事を考えて、人はどちらかといえばネガティブな過去へと戻りたがりそうです。

しかし当たり前のように「予め」なんて言葉を使いましたが、ここまで話してきた中で一つ前提としてきた事があります。それは、過去に戻っても今の記憶が保持されるという事です。

楽しかったあの日に戻って「もう一度」楽しめるのは、既に楽しんだ記憶があればこそ。残念なあの日に戻って「今度こそ」正しい選択を取るには、既に間違ってしまった記憶があればこそです。仮に過去に戻れたとして、自分の記憶もその瞬間のものへと巻き戻ってしまうのであれば、話は大きく変わってくるでしょう。

仮に、ある瞬間t1でaという選択をした人が居たとしましょう。しばらく経った後、彼がaを選んだ事を後悔しt1へと戻った時に、t1以前の記憶しかない彼がaではない選択をする事は起こり得るのでしょうか。

彼がt1でaを選んだのは、t1以前の彼がそういう選択をするような成長をしてきたからであり、そこに確率や運などは存在しないのではないかと僕は思っています。だからt1に戻ろうが、結局aを選ぶのではありませんか?


「過去に戻りたい」という欲求の本質は、過去に戻る事それ自体ではないのです。過去に戻ってから自分がとる行動、それこそが過去に戻りたい理由となるでしょう。

記憶が保持される訳でもなく、ただ過去へ巻き戻るだけであれば、また同じ「ここ」へ辿り着くハズです。


「もしも過去に戻れたら」

あなたなら、どこへ戻りたいですか。

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