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新書に纏るエトセトラ

久々に読み返していた『ビブリア古書堂の事件手帖』の6冊目を読み終わった時、あとがきの先を軽くはらりと捲った。2014年12月25日、初版発行。その次のページには、左側に『ビブリア古書堂の事件手帖』の、そして右側には『お待ちしてます 下町和菓子 栗丸堂』の広告が載っていた。

当時それはまだ2冊しか刊行されていないシリーズだが、『ビブリア』と同じく株式会社KADOKAWAのメディアワークス文庫から出版されている。始まったばかりだが売れ行きの良い『栗丸堂』の広告が、ベストセラーと言って差し支えない『ビブリア』の巻末に載っているのは当然だろう。

さて、先日整理したばかりの自室の本棚は、その最上段にメディアワークス文庫が並べられている。『ビブリア』が10冊置かれている隣には、『栗丸堂』が11冊。僕の本棚で隣り合っているシリーズが、この巻末の広告ページでも隣り合っている。しかしそれは別段、偶然でもない。順序が逆であるからだ。それを今、思い出した。

2014年、9年前の僕はこの『ビブリア』6巻を読み、その巻末にあったこの広告に興味を引かれ、『栗丸堂』を読み始めたのだ。そしてどちらのシリーズも今に至るまで読み続けている。

1冊の本の些細な気付きから、まるで9年前の僕と今の僕がシンクロしたようで、何やら不思議な感覚へと誘われる深夜2時。

本には人の物語が宿る。

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