アイドルになってくれて 〜トラペジウムを読み〜

私がアイドルを好きになって何年ぐらい経つだろうか。
飽き性の私が長年趣味としてあげれる数少ないものの中の一つ。いわゆるオタクだ。
その中で乃木坂46高山一実さんというアイドルと出会ったのは今から大体4年前、その頃から好きだったももいろクローバーZの高城れにさんとのツーショットが高山さんのブログに載った時、その柔らかな顔立ちと雰囲気を始めて見て、心をうたれた。

元来、ももクロしか応援してこなかった私が他グループのメンバーに心揺らぐというのは何かいけない事のような気がして、その気持ちを押し殺したのを今でも覚えている。今考えればただのオタクが馬鹿馬鹿しい話だがその当時は本気で禁忌を犯しているようなつもりだったのだろう。

それから暫くして、知り合いの勧めもあり乃木坂工事中という番組を見てみることにした。
恐る恐る見たその番組に彼女は映っていた。
笑顔で雛壇に座る彼女は時折MCのバナナマンに呼ばれ、他メンバーが作った料理を笑顔で頬張り、一生懸命味を褒めていた。
その姿を見た私はあの日以来のトキメキを感じ、彼女を応援することにした。
そして現在まで彼女を推しと呼び、勝手に画面の向こうの彼女を応援している。

そんな彼女が小説を執筆した。
タイトルは「トラペジウム」

あらすじとしては、『幼少期からアイドルに憧れる東ゆうは自分を含めた地元の東西南北の高校から、よりすぐりの女の子達を集め、グループアイドルとしてデビューするために様々なことを画策する。そしてアイドルとして一筋の光が見えたとき、高校生活をかけた夢にある結末が訪れる』と言った感じだ。
私がこの小説を読んだ感想は面白いか面白くないかで割り切れないが、ただ、何か心に刺さるものを見た。という感想だ。

現役アイドルの彼女が描くアイドルになるという文章は私の想像を遥かに超えた。
この小説では夢や美しさ、儚さや脆さ、そして汚さや残酷さも全てアイドルになるという一つに括られていたと私は感じた。

この小説の中で主人公東がある人物にこう言い放たれるシーンがある
「アイドルって言葉だけで嫌悪感を示す人もたくさんいる。」
この言葉をアイドルである彼女が書くこと、それは彼女が見てきた世界の一部の切り取りかもしれない。
正直この本を終始いい気分では読めなかった。
彼女の書く文が彼女が見てきた世界の一部だとした、決して気持ちの良いものばかりではない。

しかし、彼女はそれを物語として綴り、小説として書き上げた。
だから私は心をうたれたのかもしれない。

そして今日も彼女は、アイドルとして笑っている。だから私はそんな彼女を推していくのだろう。

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