映画「ジョーカー」を見た(ネタバレあるかも)

二週間前ぐらいにジョーカーを見た。
話題にもなっているし、知っている人も多いと思うがDC社のアメコミヒーロー、バッドマンの敵役ジョーカーの成り立ちから誕生までを新たな解釈で製作した映画である。

私がこの映画を見た感想は、とにかくこの映画がすごい、それは確かだ。
80年以上続くコミックのキャラクターを新たな設定、解釈で作り直し、敵キャラと言いつつも親しみがあったキャラクターをあそこまで新たに作り上げ、どこか奇妙なものにする。(ジョーカーは作品ごとにキャラ設定が大幅に変更されるため一概には言えないが…)そしてアメコミ作品初のアカデミー賞まで噂される事態。

私個人の感想ではマーベルに押され、芳しくなかったDC作品もアクアマンあたりからよくなり、ジョーカーで幅の広さを大きくしたのかなと偉そうなことを思ったり、とにかく凄かったし、個人的な19年の映画ランクではベスト3には入ると思う。

が、しかし、この映画が面白いかどうかがわからないのだ。
ジョーカーを見たと知り合いに言うと決まって「面白かった?」と聞かれるが、それに素直に面白いと答えられないのだ。
誤解がないように言うがジョーカーは本当凄いと思うし、人に勧めたいと思う。(ただし人は選ぶが)ただしかしあの映画が面白いかどうかわからない。

何というか悲しいのか憎悪を抱けばいいのか分からなかった。

それは共感という部分が大いに関わっていると思う。

ジョーカーは自らの病、貧富の差、社会からの隔離、様々な要因で悪に染まっていくのだが、ここのグラデーションが見事に緻密で目を伏せたくなるのだ。

人は何かしら闇を抱えているのだろうし、私自身根暗な分、社会の格差みたいなのを被害妄想で感じてしまうのだ。だからこそジョーカーが悪に染まって行く部分に少なからず共感してしまう。
だからこそ、後半ジョーカーが人を殺すなど異常行動をするシーンが効いてくる。前半で感情移入してしまった人物が後半異常になっていく。
この精神ダメージが大きい。

超能力者でも超犯罪者でも超人でもなく、どこか自分に似た人間が異常になって行く、ここが今までの悪役像にはなかった部分でこの作品の厚みなんじゃないかなと思ったりしたが、この厚みが私が素直に面白いと言えない原因じゃないかなと思う。

でも面白い映画が本当にいい映画なのか?と思ったりもするのだ。

という点ではジョーカーはいい映画だったのかなと薄口な感想に結論付いてしまった。

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