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第56回魔界を終えて。物語を追求する。

2019年二度目の魔界を終えた。

「罪シリーズ三部作」の丁度、中間部にあたる2回目。

贖罪に続いて二回目は免罪と銘打った。

今年は、演出家・作家として追求しているのは「物語」。

魔界は、どうしても派手な戦いに目がいく。激しい音楽とぴったりシンクロする戦いは魔界ならではのものだし、はじめて来た魔界の民(観客)にとってはストーリーがわからなくても楽しめる重要な要素である。

魔界が連続ものというある種のマイナス面であるとっつきにくさをカバーしてきたのも事実。

しかしながら、ストーリーがあるからこそ、戦いに感情移入できるというのも間違いない事実。

だからこそ、あえてストーリーではなく物語としての精度を高めたい。登場人物の心情や駆け引き、矛盾や絶望感、そして希望というものを描ききりたい。

この罪三部作はそこにたどりつくための作品でもある。

「わかりやすさ」というものは意識せず、深く登場人物の心理や、演じるキャストの現実世界とのシンクロを行いながら、魔界という世界観を構築することを最優先にした。

魔界は様々な人間関係や軍団の抗争が目まぐるしく暗転明転を繰り返しながら展開する。そのシーンごとの演劇部分についてはかなり深く描いたつもりである。

単純な対立軸だけではなく真田十勇士の中の微妙な力関係、闇に染まったかのような里見八犬士犬坂毛野の動き、弱者でありながら魔界という世界で大きな鍵を握り始めている魔界衆。

対立から共闘に向かう黒魔術軍高山右近と五芒星軍安倍晴明。

複雑な人間関係を魔界VS冥界という勢力構造に収斂していく。

ひとつひとつ組み上げていく作業だが、前回に続き、また一段階段を登ったように感じる。

次回は三部作の結びとなる。

物語の力を最大限に活かすため、かつて演劇界でひとつのジャンルを作ったアクトリーグから、真田昌幸こと植村好宏、楠木正成こと渡猛、犬山道節ことタイソン大屋を召喚。ここに安倍晴明ことにいみ啓介、高山右近こと土屋大輔。

若手の俳優も含め、3月は演劇チームに厚みをもたせた。

もちろん、激しい戦いと音楽はさらにパワーアップする。

3月の魔界もぜひご覧いただきたい。

またひとつ前進する魔界を体感していただきたい。

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