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小説 続ける女〜session14


夫の転勤で、吉良の住む東京に移り住み、偶然、駅前で吉良と再会したことで、すべては変わった。




いや。




続いていた。




そういうべきなのだろうか。




いつものようにいくつかの路地を曲がり、大通りに出る。


この時間帯は出勤時間の少し前であり、人通りはまだ少ない。




風がときおり強く吹き、莉子の髪を揺らす。
ベビーカーの中では二人の「ヨシト」が天使のような表情で眠っている。





莉子は足を止めた、




莉子の視線の先にはポストがあった。


莉子は素早く辺りを窺う。


そして、なるかぎり自然な様子でダウンジャケットのポケットから封筒を取り出し、ポストへ投函しようとした。



その瞬間。




封筒を持った莉子の右手首が何者かに掴まれた。





「もうそんなことする必要はないのよ。」




莉子は驚いて振り向いた。


そこに立っていたのは、昨日、公園で出会った女であった。




呆然とする莉子に女は言った。




「もう・・いいのよ・・。」




莉子の手から力が抜けて封筒が木の葉のように揺れながらアスファルトの地面に落ちた。



その封筒の宛名書きの踊る禍々しい文字。




口紅で書かれた赤い文字は




吉良義人さま



と書かれていた。








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