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第5回「イメージ力ではなしかたに説得力を加える」

  イメージ力といわれるとやはり「漠然」としていますね。

イメージ力といっても使うのは「再現」というテクニックひとつです。

よく営業なんかで聞かれる「貴社の強みは?」なんて質問がありますね。

答えとしては「価格が安い」とか「補償制度」ですなどと答えると思います。 


そして、その「低価格」とか「補償制度」とかが「なぜ」強いかという理由をエピソードとして付け加えると思います。 


曰く 


「海外での現地調達、現地加工によって原価を抑えている」
「国内で300店舗のサービスセンターが完備されている」など。

確かに「主張」とその「理由」という組み合わせは「論理的」ではあります。

しかし。

心は打たないのです。

それは「イメージ」ができないからです。
理屈はあっていても「感性」には何も訴えかけてこないからです。


今までも書いてきましたが、人間は「感情」で動く動物です。

「感情」が動かないとなかなか「行動」に結びつきません。

だから「感情」を動かすために「イメージ」が必要だというわけです。


その手法が「再現」です。


「再現」とは「できごと」を「詳細」に

そして

「事実」に「感情」を交えて話すことです。

このバランスがとても難しいのです。

「事実」だけが多くなってしまうと「無味乾燥」になりますし、「感情」が多すぎると「具体性」が失われてよくわかりません。

はなしかたが下手な人のほとんどがこのふたつのどちらかのスパイラルにはまってしまっています。

今回もこれをシンプルなトレーニングによって改善していきたいと思います。


そこでまず最初のトレーニングです。


一番簡単な「事実を詳細に話す」から行ってみましょう。


これも簡単なトレーニングです。


「目を閉じて自分の部屋をなるかぎり詳しくしゃべる。」

これだけです。

玄関から廊下、部屋の床、天井、窓、机、机の上のもの、ベッド、ベッドの形、ふとん、枕、など鳴る限り詳しくしゃべってみます。 


しゃべり終えれば、目を開いて確認します。 


そこで抜けているものをみつければ、もう一度同じことを繰り返します。

目を閉じて、頭の中で部屋を思い浮かべ、それを喋るという作業は、記憶を「文字」でなく「絵」で浮かべることにより、より「感性」を刺激し、再現性を高める効果があります。

はなしかたが下手な人は「文字」で内容を考えるためイメージが伝わりにくいのです。 


写真を言葉で伝えるより、写真そのものを見せた方が早いでしょう。
それと同じです。

ただし、写真を見せられない場合はそれを「言葉」で伝える必要があります。

そのときに頭の中を「文字」ではなく「絵」でイメージすることが大事なのです。

このトレーニングを続けると、短い言葉で情景を明確に伝える能力が身につきます。


それができると次に行うトレーニングは


「目を閉じて家から最寄りの駅までの道順をしゃべるです。」

部屋を再現するよりも複雑になります。 


部屋は場所が移動していませんから、どこから手をつけてもある程度、イメージの再現はできませんが、道順はきちんと位置関係が整理されていないと全く聞き手にはイメージが湧きません。 


「絵」から「動画」になると言ったらいいでしょうか。 


より立体的なイメージ構築と再現性が鍛えられます。 


また論理性と構成力が鍛えられます。

この二つのトレーニングをしっかり行うとそれだけでかなりイメージ力はつきます。

イメージとは「単語」の効果的な「羅列」なのです。

赤ちゃんはいきなり文法をしゃべりません。 


「単語を羅列する」ことで頭の中にある「絵」を伝えます。 


それはまさに「感性」を揺さぶる言葉なのです。

「単語」=「絵」です。 


その「絵」を効率よく表示していくことで、イメージが鮮明で具体的で再現性の高い表現を身につけるというわけです。


これができると第3ステップです。

この道順に「感覚」や「感情」を加えます。

例えば、道順に花屋さんがあったとすると、「甘い匂い」とか「心が華やぐ」とか「感覚」や「感情」の言葉を加えるのです。 


このことによって、単なる「詳細な事実」に自分の「感情、感覚」という「主観」が入ることによって、その人独自の体験の「再現」が完成するわけです。


これができるようになると「普通の体験」がなんだか「特別」な体験に受け手が感じる説得力のある表現に変化します。


上手なはなしかたとは相手にイメージさせ、そしてその「感性」を揺さぶらるものです。


最近は、「ロジカルシンキング」が重要視され、はなしかたの重要なテクニックとして大企業の研修などに取り入れられていますが、ここで見落としがちなのは、英語と日本語の違いです。

英語はそもそも非常に直感的であり言い回しも直接的です。 


したがって、論理を組み立てるだけで充分に「イメージ」が強くなりメッセージが明確になります。 


日本語はその逆で曖昧な表現が多く、論理を組み立てるだけでは、「理屈はわかるけれどイメージできない」という事態に陥るのです。

ですから、欧米式の「ロジカルシンキング」を取り入れるときに合わせて、「イメージ力」をアップするトレーニングをする必要があるのです。

このトレーニングは日記のように「書く」ことでも鍛えられます。

ワタシは毎日やっていますが、「イメージダイアリー」というトレーニングです。

90秒で一日あったことを単語で怒涛のように書きまくるという日記です。

他人に読ませる必要はないので意味不明で構いません。

ただ、自分で後で読んでその単語の羅列で頭にその一日の情景が手に取るように浮かんできたら正解です。


これも毎日行なえば一気にイメージ力がアップします。


ぜひチャレンジしてみてください。 

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