はしのした #21

ちょっとブチ切れたいんだが。まじで。こんなん酷いわ、もう。

 また夢を見ました。今度はめっちゃ仲良く喋りました。夢の中で彼はちゃんと声を持っていた。はっきりとした声で喋っていた。でもそれは本当の声ではなくて、記憶を失った私が無理に形成した偽物の声だった。けれど、すごく楽しかった。「みんなどんなバイトしてる?」とか、一緒に電車に乗った時に「どこ座る?」とか、とにかくたくさん話しかけたのだ。それに彼は嬉しそうに答えていた。普段無口で、素っ気ない態度とはまるで違う姿だった。幸せだった。これ以上ない幸せで、夢であることもわからなかった。

 で、今起きて、もちろん超超絶望。いや考えてみればありえない話なんだが、夢というものがとてつもなく憎らしくなって、でも未だ夢の余韻に浸っていて、魂が抜けたみたくなって今note書いてる。本気で彼と会う方法を考えていた。中学時代唯一仲の良かった男友達に聞いて、どうこうして……みたいな。いや今はだめだよな、もっと可愛くなってから会いたい、などということを考えながら、妄想タイム突入。地獄。めっちゃ「は???????  なんでお前が????????」みたいな反応されるだろうな……って。想像すると怖くて、でも死ぬほど会いたくて、どうしようもない。あと、今の私はどう考えてもその人のことを『忘れるべき』なのだ。こんなに引きずってしまうのは、あまりにもよくない。私には彼氏がいる。彼氏に申し訳ないし、いつか私はその彼のことも本気で苦しめるかもしれないのだ。彼氏には彼氏の良さがあって、それはあの人には絶対にない良さだ。でもまた、彼氏はあの人とも違う。忘れなければならない。無理やり。どっちにしたって、苦しい道は避けられない。苦しむのが私だけで済むといえど、やはりつらいものはつらい。

 どうして夢にまで出てくるのだろう。それも肝心な時に。とても生々しく。私の脳を侵食していくかのように。悪魔の仕業だった。忘れようとする度に、何かの悪魔が、私に彼の思い出をより一層深く刷りつけていく。ここは地獄か? 

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