見出し画像

104consortium 「20代のみなさん教えてください!いま日本の20代はこうなっている」

みなさん、こんにちは。
今回は、運営メンバーの中村が、2021年11月5日(金)の第6回20代104会議をレポートします。

第6回のテーマは「20代のみなさん教えてください!いま日本の20代はこうなっている」と題し、業種の異なる7社の先生方に「今の20代が考える投資思考」について教えていただきました。
また、発表のあと、投資に結びつけられそうな仮説や気づきをみんなで議論しました。

それでは当日の模様についてレポートしていきます。

~20代に教えてもらう~

◎1時間目(住友林業の松本先生と森下先生)

画像1


【森林の高齢化】
日本の森林は、伐採期と言われる樹齢50年~70年の森林が全体の13%を占め、65歳以上が14%になると高齢社会と呼ばれる人間社会に近い状況。木は、高齢化が進むとCO2の吸収量が減少する。環境対策のために「森林を使って育てる」ことが重要。

【日本の20代の環境に対する意識】
「50年生以上の人口林をどうすべきか?」という調査で、20代は森林保全に対する意識が最も強いという結果が出ている。しかし、伐採すべき木を守っていくという間違えた意識がある。木造住宅を通じて、若い人たちが木材を意識的に使うようになれば環境対策に繋がる。


◎2時間目(丸井の坂上先生と八須先生)

画像2

画像4


【20代の購買意欲は“付加価値”を重視】
今の20代の購買意欲を坂上先生の大好きなステーキに例えて解説。今の20代はステーキそのものだけではなく、ステーキの付け合わせ(付加価値)も重視して選ぶ。
丸井では、商品を購入できない体験型のブースや高級時計をシェアするという新たなビジネスを展開し、その反響から付加価値を重視したサービスが消費に響いていることを実感。

【“付加価値”利用したエポスカードの戦略】
アニメ等の版権とコラボした独自の券面を展開するエポスカードの戦略を紹介。これにより20代の入会率や継続率が高くなっている。単なる支払い手段ではなく、楽しめるファンアイテムの1つとして付加価値に重きを置く若者の傾向を反映させている。


◎三時間目(東京ガスの永井先生、森高先生)

画像3


【東京ガスの20代が創る、エネルギーの新しい価値】
持続可能な社会に貢献する誰にとってもやさしいエネルギーを広めることを目標に、途上国の植林、森林プロジェクトによるCO2クレジットの削減価値とLNGの天然ガスを掛け合わせ地球規模でのカーボンニュートラルに向けた施策を行っている。

【20代が創る、暮らしの中のちょっと良いこと】
東京ガスの20代の社員がエネルギーから少し離れた暮らしによいことを創造。例えば、食料廃棄問題の解決のために立ち上げた社会貢献型ショッピングサイト。メーカーで売れ残った食品を買取り、東京ガスのお客さまに安く届けている。他にも女性の社会進出と子育ての両立を支援する「読み聞かせ絵本アプリ」、お風呂の効率的な入浴方法をアドバイスするアプリの開発等、20代の様々なアイデアがサービスとして実現している。

◎四時間目(電通の高橋先生、一森先生)

画像5

画像6


【1人じゃなくて2人で始める】
ペア読書を紹介。2人で同じ本を読み、その後2人で感想を共有すると2人とも違う意見がでてきてより深く本の内容を理解できる。一緒に始められるから続けられる、2人でやるから補完し合うことができる。これを利用し、例えば「カップルで始める投資」「親子で始める投資」「ズッ友投資(ずっと友達)」などが考えられる。

【ニッチだから刺さる】
プログラマー向け特設サイトにプログラマーにしか分からない特徴的なカロリーメイトの広告を実施。電気機器メーカーが沿線に多いJR南武線の各駅に大手自動車メーカーのエンジニア向け求人広告を出したこともある。ニーズが多様化する中で20代全体を対象にするよりもニッチに刺さるアイデアを考えていくのも面白い。


~Forbes JAPAN薦田(コモダ)副編集長による前半戦の振返り~

画像7


毎年アンダー30の起業家と会う機会がある。みなさんが考えている共通点として「過去の世代と同じ方向で何かを流行らせるのは非常に難しい」と感じているようだ。若者なりに正しいこと、世の中のためになることを一生懸命考えている、恐るべし。


◎五時間目(WealthNavi 北川先生)

画像8


【自己投資は周囲のサポートも大事・短期の失敗も学びあれば長期リターンに】
(女性社員の例) 専門家に任せるのがよいと美容(エステ・サプリ)にお金を投じたが、なかなか長期的な効果は実感できなかった。ただ、そのサポートがきっかけとなり健康活動が習慣化し、体調改善など長期的な学びを得ることができた。

【自己投資の投資対象は主体的に選ぶことが大事】
(男性社員の例)資格試験、海外研修、ゴルフスクールなど様々な経験に対して、お金と時間を投入した。その中で様々な失敗も経験したが、最終的に自分で決めた投資だから乗り越えることができ、自分の視野・スキルが広がり長期的なリターンを実感できた。


◎六時間目(セゾン投信 渡邉先生)

画像9


【つみたてNISAの増加率は各世代の中で20代がダントツ】
多くのメディアで2,000万円問題が採り上げられたこと、投資に関するSNSへの投稿が増えたこと、100円から始められるネット証券が浸透してきたことが、投資を始めるきっかけになっているのではないか。

【投資をはじめられない2つのリアルな理由】
1つは、奨学金の問題。2人に1人が奨学金を利用すると言われている。返済があるとまとまった資金を投資に向けられない。2つ目は、バブル崩壊以降の失われた20年を経験した親の影響。今の20代は、親から「投資はろくなことがない」と言われてきていて、これが投資のネガティブなイメージに繋がっているのかもしれない。


◎七時間目(東証 富田先生)

画像10


【30代と40代の間の運用トラウマの壁】
40代・50代はバブル・就職氷河期を経験して証券投資にトラウマを感じる人が多い。一方、20代・30代はバブル雪解け・アベノミクスを経験しているのでトラウマは限定的。

【運用への関心と実践は別問題】
最近のデータによると、20代・30代のつみたてNISA設定数が全体の半数以上にもなる。しかし、口座残高ゼロに投資額20万円以下を加えると全体の3/4になる。若い人は、年配者よりも投資に興味があるが、「お金がない」「何を選べばよいのか分からない」という証券投資を始められないネックがあるようだ。


~Forbes JAPAN薦田副編集長による後半戦の振返り~

色々経験することが自己投資で、失敗した経験も投資で学んだことになる。
人間は、失敗を積み重ねる事に対して意外にも楽観的。この思考を利用すれば、もっと投資を広げていけると思う。


~熱い議論とQ&Aタイム~

ここからは参加するみなさんが、投資に結び付けられそうな仮説や一般的な気付きをSlidoを使ってコメントし、時間の許す限りディッカッションしました。

画像11


(◎がSlidoのコメントです)
◎若者は、例えば環境に優しい商品などSDGsに関連するような物事に感心があるというのがよく統計データなどでも語られているが、何故なのか?そもそも本当なのか?(アセットマネジメントOne 阿南さん)
(コメント)
・環境教育が小学校からあるのが大きい。でも、その先のアクションに繋げるところまでは行き届いていないのかもしれない。
 ・環境問題に取り組むことで、植林、雇用、生物多様性、途上国の支援など様々な問題解決に繋がる。
 ・企業は強制力のあるものにできるが、個人レベルだと難しい。

◎ESGが今注目される理由は、多様化が進むなかにおいても、みんなが直感的に良いね、と共有できる活動だからなのではと思いました。改善する方法が見つかれば、どんどんこのムーブメントは大きくなるのではと思いました。(三菱UFJ国際投信 武部さん)
 
◎若者がエコのムーブメントを作りお金のある大人が買う、使うことから始まるのではないかと思う。(三井住友信託銀行 吉原さん)

(コメント)
 ・例えば、若者がエコのムーブメントを作りお金のある大人が買う、モノが大量に売れればコストが下がりお金がない若者が買えるようになる。このような社会の作り方もありかもしれない。

◎奨学金返済などでまとまった資金がないことが投資を始められない理由なのは間違いないと思います。実際、学術的な研究を調べたときにリスク資産保有の決定要因として持ち家の変数がマイナスに優位でした。奨学金や住宅ローンなどを抱えているとそりゃなかなか投信にお金は回せないと思うので、少額投資などの普及がやはり必要ではと思います。(アセットマネジメントOne 阿南さん)
 
◎「20代」ではなく、「20代で○○に感心がある」みたいな、より解像度を上げたターゲッティングまたは、コミュニティを定義する事が必要になってくるのかなと思いました。(三井住友トラスト・アセットマネジメント 浦谷さん)

(コメント)
 ・ESGやSDGsのような錦の御旗的な逆らうことのできない理論に20代の若者は同調しているように思う。そういうところに上手く共通認識を持つような見せ方が考えられる。
◎お金の投資も森林のこと(50代で伐採した方がいい)も正しく伝わってないのが課題。ニッチに子連れキャンパーを対象にアプローチできないでしょうか?!(三菱UFJ信託 牛嶋さん)


(コメント)
 ・森林の話を聞いて知らないことばかりだった。これはお金の知識にも通じる。正しく伝わっていない課題と課題の掛け合わせをしつつ、ニッチなアプローチを行うのも面白い。

ここで時間切れ。
最後にForbes JAPANの薦田副編集長からコメントを頂きました。

とある大企業の取締役から聞いた話を紹介。「教科書に書いてあるからといって、それが正しいものだと思うなという教育を受けてきた」という話が印象的だった。今日は、今の20代が直感的に正しいと思うことを判断し行動していることも感じられ非常に面白かった。

これで第6回目の20代104会議が終了。
今回は、7社それぞれの思考や取り組みを教えて頂き、7社分の収穫があった回でした。
今回のレポートは以上となります。

次回は、12月7日に行われた『○○問題 ワークショップ ~ 私はこれが課題だと思う!』をレポートします。乞うご期待!

                                以上

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?