紙飛行機に世界一周!お金だけではない“人生の投資”<前編>
20代の“投資思考”を育む「104(トーシ)コンソーシアム」。「20代104会議」の第3回が行われました。
今回は前半パートをレポートします。
「人生はすべて投資?!~あれがあったからこうなった」と題し、“日本を代表するお2人”Creative Project Base 倉成さんと、フリーアナウンサーの榎戸教子さんに登壇いただきました。
世界的クリエイター倉成先生による「人生」の授業
まずは倉成さんのお話から。
人生で一番投資したものという問いに対して、「紙飛行機に、かもしれません」という驚きの話からスタートしました。
なぜ「紙飛行機」なのか。
小1のときの文集に「発明家になりたい」と書いたそう。小1の夢として「発明家」がクラスでも珍しく、褒められたことが頭に残っていたそうです。
そこから大学生になり、4年生を迎えたときに転機が。工学部に進学していた倉成さん、周りはみんな大学院に進学していたそう。発明家の夢をずっと抱いていたところで立ち止まって考えたときに、「デザインも一緒だ」と思ったそう。たまたま広告業界の本を目にし、そこにたまたま同じ学部出身のコピーライターが掲載されているのを見て、コピーライター養成講座を受講。広告の面白さに目覚めて、大学を中退されたそうです。
縁あって電通に入社し3年がたち、日々の業務に忙殺されていたところ、夏のボーナスが支給。「このお金で昔、自分がやりたかったことをやろう!」と思い立ち、そのボーナスを使って紙飛行機の形で郵送できるポストカードを作成しました。
これがなんと2万枚売れ、グッドデザイン賞を受賞。販売収入は制作費とトントンくらいだったそうですが、ここからお金以上のリターンが続きます。
1つ目は、留職。バルセロナの世界的プロダクトデザイナーの元で学ぶ機会が訪れたそう。
2つ目は、広告からプロジェクトに仕事が変化。誰に頼めばいいかわからない仕事が集まるようになったそうです。
それらをこなしているうちに、APECが日本で開催された時の首脳会議の総合プロデュース、東京モーターショー2011、IMF/世界銀行総会2012、出身地である佐賀での有田焼創業400周年プロジェクトと、どんどんと仕事の幅が広がりました。
3つ目として、“組織の発明”につながったそう。社員のB面=副業、趣味をどう仕事につなげるかのプロジェクトを創出。情報の掛け算によってイノベーションが生み出されたそうです。
このように紙飛行機からどんどんつながり、この104コンソーシアムのプロジェクトのお手伝いにもつながったという倉成さん。
現在では書店、合わせみそ、芋焼酎なども手掛けるそうです。「全てが投資。『そんなことできるなら、これはできない?』とどんどんつながっていきます。次は何が起きるかな」とまとめました。
フリーアナウンサー榎戸教子先生による「人生」の授業
続いて、フリーアナウンサーの榎戸教子さんが登壇。
さくらんぼテレビのアナウンサーからキャリアが始まり、つかこうへい劇団での稽古生活、テレビ大阪アナウンサーを経て、日経CNBCキャスターに。常葉大学の非常勤講師や、BSテレ東の経済番組「日経ニュースプラス9」などを務めた異色の経歴を持つ榎戸さん。
2023年3月末からは、5歳の娘さんと一緒に世界一周の旅に挑戦中! この日も旅先からのオンライン出演でした。
なぜ世界一周か?との問いに、「私がいま感じている『当たり前』や『普通』を疑ってみたくなった。時間や環境を縛られずに海外を旅してみたい夢があった」と語ります。
アナウンサー時代、海外のことはニュースで扱い、専門家の話を聞く機会もあったものの、自分自身が海外の仕事をすることはなかったそう。文化、戦争、地理、なにもわかっていないのに視聴者に伝えていることに対して、ウソをついているような感覚があり、自分の言葉で伝えられるようにしたいという思いがあったそうです。
これまで40の国・地域を訪れたことがあり、その土地での驚きや出会いは、その場で理解できなくても、あとでやってくることがあるそう。
たとえば、大学生時代にスペインへ留学した際、夜のバーで小さな子どもを連れてタバコをふかす女性がいたそう。「当時は信じられない!と思いましたが、いまになって思うと、自分の人生を過ごしていてうらやましいとすら感じます。自分自身も経験を経て、感覚が変わっていくことが面白いです」。世界一周で、いろんな国やいろんな人の物差しを知りたくて旅をしているそうです。
とはいえ、レギュラー番組もあり、簡単に長期間休みを取れる状況になかった榎戸さん。
「仕事を辞める勇気も、長期間休む勇気もありませんでした。なぜ世界一周に行こうと思ったのかというと、今年の3月末で担当番組から外れることが決まったんです。フリーアナウンサーなのでシビアな問題です。外れることは悲しいと思いましたが、『いまがそのときだ!』と、世界一周を決めました。1年間をかけて娘と2人、世界を周っているところです。番組の降板が決まった翌日からの、世界一周を決めたワクワク感は忘れられません」
世界25か国50都市を回り、2024年の3月に帰国予定。エアーの手配や宿泊・食費や各種保険、予防接種などの試算をしながら、順調に歩みを進めているそうです。
「この経験をどう生かすか、何につながるかはまだわかりません。でも自分自身の心は決まりました。世界一周が終わったら、自分の好きな人と仕事をしたい。そのために頑張っています」
旅に出たからこそのインプットは数えきれないほど。
ただ、あせったり、無駄にインプットをしたりしないようにしているそう。
倉成さん、榎戸さんの濃密な体験は、かけがえのない“人生の投資”そのもの。
参加者からの感想や、104コンソーシアム運営メンバーの分析などは次回レポートします!
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