喧嘩
旦那と喧嘩した。
都心暮らし都心育ちのわたしは、
24歳まで地元から出たことがなかった。
地元から出たい一心で就職先に全国転勤の仕事を選んだ。配属先は地元とは正反対の北の果て(田舎)になった。知り合いも同期もおらず、キラキラした映えた空間もない街でもくもくと仕事だけをこなす日々が続いていくわけだが、その時の唯一の楽しみが月に1度6時間かけて会いに来てくれる彼氏の存在だった。
わたしはこの人しかいないと決め、
なかなか入れない大手企業を2年で寿退社し、彼と一緒になることを決めた。
彼もまた大手企業のサラリーマンなのだが、彼の勤務先も田舎だった。
田舎とはいえ、ネイルや髪色は常識の範囲内で自由はあったし、給料もそこそこあった私だったが、次の田舎にはそんな綺麗な仕事はなかった。
私は給食のおばちゃんとなり、
薄給で一生懸命働いた。
労災なんかにもあったりして、
以前はネイルを楽しんでいたが、
爪が吹っ飛び、ネイルどころの騒ぎでは
ないこともあった。
そんなこんなを乗り越えながら
週末には猛勉強し、
国家資格を取得した。
資格を取得すると、たくさんの仕事のオファーが来た。資格でこんなに世界が変わるのだとすごく嬉しくなった。
が、問題はここからである。
オファーは全て都心部でのお話ばかりだった。
あれほど彼と一緒に住むこと、
一緒になることだけが楽しみだったのに、
人とは欲深いもので、
それだけでは満足できなくなり、
私の気持ちは全然違う方に浮ついていたのだ。
色々と考えてお仕事はお断りしたのだが、
喧嘩をするとついその時のことを
口に出し彼を困らせてしまうのだ。
子供も欲しい、仕事もしたい
私は彼にわがままばかり言っていた。
けれどわたしはこれをわがままだと
思っていなかったので気づかなかったのだ。
どちらも当たり前のことだと思っていたから。
けれど、夫婦といえど
他人であり、人と人なのである。
自分のやりたいこと、欲しいことばかり
追い求められないそんな現実を
ひしひしと感じている。
今わたし、したい仕事も
大好きな人との子供もなーんにもない。
あの時勢いで結婚したこと正しかったのだろうかと思うことがある。
正解なんてない。
自分の選択を正解にするために、
考え方を変えるしかないのだ。
意地っ張りなわたしだけど、
彼に感謝と労いを忘れないようにしたいと思った。
ごめんねと伝えよう。
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