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自然薯パーティー

「芋やるけど来る!?」

ここを読んでくださる方には意味不明な言葉だろう。
この一言を秋に聞く喜び。
叔母からの電話が待ち遠しい。
立派な自然薯が叔父宅に届く。
そうすると叔母から電話がかかってくる。
それが上述の一言だ。

名付けて自然薯パーティー。
私が勝手にそう呼んでいる。
パーティーという言葉に相応しい内容だからである。
所狭しと並ぶ大皿の数々。
全て叔母の手料理。
叔母の手料理についてはまたの機会に。

パーティーの主役はもちろん自然薯だ。
巨大すり鉢にたっぷりと入った自然薯。
パーティーに出席した数は星の数。
準備をお手伝い(ほぼ見学)した数は片手で余る。
そんな片手で余る中で覚えている工程。

自然薯の皮をむく。
フードプロセッサーで自然薯を粗目のペースト状にする。
昔は自然薯をすり鉢にこすりつけてすっていたハズ。
粗目にすられた自然薯を擂粉木でひたすらする。
途中から叔母特製・ほぐした鯖の身が入ったお出汁でのばす。
とにかく擂粉木との闘いである。
相手は巨大すり鉢だ。
代わる代わる大人が挑む。
叔父の「もう良いだろう」の一言が出るまでとにかく闘う。

叔父の号令「もう良いだろう」。
この一言が後に大きな意味を持つ。

親族が集まりパーティーが始まる。
全員が叔母の手料理に舌鼓をうつ。
さぁ、自然薯だ。
鯖の身と出汁によって滑らかに引き延ばされた自然薯。
トッピングは海苔・ねぎ・しその実の塩漬け
間違いない。
間違いなく美味しいのだ。
年に一回のお楽しみ。
序盤に調子に乗って自然薯を食べ過ぎ、お腹いっぱいになるパターン。
毎度、学ばない。

パーティーの参加者が「美味しい美味しい」と口々に言う。
そこで叔父の出番だ。
「そうだろう。俺がすった芋だからな!!」
叔父ちゃん、あなたは号令だけだよ・・・。

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