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「すべての男は消耗品」(R18)

すべての答えはバーにある。
決してモラルは押し付けず 正解も求めない礼儀作法ゆえ見えてくる答え。。

そんな博愛ウェルカム感が洩れ出しているせいか
ひとり飲みの際 必ずと言っていいほど 面白いキャラクターと出逢う。

今宵も「すべての男は消耗品である」を地でいくようなH嬢と。
椎名林檎のような黒髪ショートボブに
短いAラインの黒いダウンジャケットを脱ぎつつ発した アンニュイな第一声が 一瞬にして彼女のアナーキーさを露呈させた。
此処の常連客で 店主とは男女関係ではないものの 毛穴の奥まで明かしている仲らしく、
一気に男子校の部室な話題から、、
顔面偏差値にこだわる意味がわからないという流れでH嬢のプライベート話に。。

とにかく 私には男を愛するという感情が皆無らしい…とのこと。
愛することとはなんぞやと。

…いきなりにしてド偉いお題だったりする。

結局 自分に愛情の象徴がないため 自分から人を好きになったりはせず
グイグイときた男すべてに応えてる始末だと。
つまり据え膳はすべていただき、全試合“いたす”とのこと。。
ブスでも性悪でも関係ないらしい。完全試合とのこと。
男の萎えポイントらしい自身の刈り上げたツーブロックも
極度の恥ずかしがり屋が功を奏してか 毎度 顔が見えないくらいの真っ暗闇でないとダメらしく、視覚上のアプローチは一切不要とのこと。

よって 愛はわからないが 肌が合うは分かるらしい。

そして ゲームセットを迎え 彼女が煙草を燻らせ始めると
毎回 スガシカオ、プロフェッショナル…仕事の流儀 が流れるんだそうな。
頭の中で流れるこの一曲が終わらないうちに 男には できれば さっさと帰って欲しいらしく、
この時にダッチワイフを買う男の気持ちが痛い程わかるのだと。。

はじめのうち私をお嬢ちゃん呼ばわりだったが 話をするにつれ どうやら歳上みたいだと気づき 急にねぇ様と呼びはじめる。。
「ねぇ様 これって…恋愛が分からないってのは…不幸なことなのかしらね」と。。

昨日アイコスが壊れてしまったからと 細いメンソールを燻らせ 髪をいじる指は なんだか張り詰めた糸のようで ちょっぴり愛らしく映った。

ここまで潔く 快楽のみを求める女が居るんだなと…
動物的な正直さと対峙して
誤解と錯覚という 勘違いの連なりで続いていく恋愛というものなんて いっそわからない方が 幸せだったりするのかも知れない とさえ思えてきた。

わかっていても そうさせる…
まぁどちらも同じことか。

翌日 川沿いの道を歩きながら ふと
そういえば 週末に川沿いのデザイナーズホテルで約束があると言ってたな…
薄明かりに煙草を燻らせ スガシカオに浸ってる綺麗な横顔が微かに浮かんだ。

なんだか またあのアンニュイに 逢いたくなってきた。

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