景色に帰りたい
時折帰りたくなる場所がある
生まれ育った「景色」に
東北の とある田舎町に生まれ育ち
目にする景色は当たり前の物だった
山々に囲まれたその場所は
春には失った色を取り戻すかのように
木々は緑を纏い野花が咲き始め
山は緑色を取り戻す。
暖かさとその景色が嬉しくて
その場所を散歩するのが大好きだった
川原に連なる猫柳は少し寒そうにふわふわの服を身につけ
春の訪れを知らせる福寿草やふきのとうが芽を出し香る。
あの場所の桜も毎年綺麗に咲いて
淡い桃色の優しい雪が降る
クローバーが道に連なり気持ち良さそうに揺れる
白詰草が一緒に唄う
季節の香りを受け取る時
あの場所の「景色」に帰りたいと想う