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木曜日の晩に

先日、飛鳥井さんと一緒に出かけた。駅のホームで電車を待っているとき、飛鳥井さんは妙に線路の辺りを見ていた。
どうかしたんですか?
いや、ちょっと。
えっ?
ちょっと、見てただけ。
何を?
シダがね、生えてるかなと思って。 シダですか。    

線路のわきっちょとか、ホームの下の方とかに、結構生えているんだな、これがまた。で、それがまた、その辺でよく見かける蕨みたいなのと違ってたりするわけよ。だから、電車の待ち時間とかに探してしまうんよ。    で、また、疑問がわくんだな。なんで、あまり見かけないようなシダが線路辺りに生えてるんだろうって。いつから、そこで暮らしてるんだろうって。駅を作った時からいたのか、風にのって飛んできたのか、電車に揺られてやって来たのか、電車を利用する人にくっついてきたのか、貨物列車の荷台に乗ってたのに振り落とされたのか。実は密かに植物ゲリラ活動家がいて、こっそり胞子を撒き散らして歩いているのか、、、とか、いろんな可能性があるよな。全部かもしれん。 

でも、一番最初に思ったのは、夜の貨物列車に乗ってきたってやつかな。夜中に走る貨物列車にこっそり乗って旅してくるなんて、シダのやつ、ロマンチストだよな。それとも宮沢賢治が好きなのかな。夜汽車に賢治はつきもんだろ。オレも貨物列車と一緒に賢治が出てきたよ。ずいぶん長いこと、ご無沙汰してるけどな。

賢治と鉄道とくれば、夜ノ森だよな。確か駅名だけど、その響きと漢字表記は不思議さを纏って、ひどく惹き付けられるんよ、、、

飛鳥井さんはとまらない。

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