Web3のためのゼロ知識IDサービス「Polygon ID」について
本記事は、Polygonが2022年03月29日に作成した、「Introducing Polygon ID, Zero-Knowledge Identity for Web3」の日本語翻訳です。
記事のサマリー
ネットワーク上でユーザー自身が決定権を保有できるようにするというWeb3の誓約の核心は、ユーザーがデジタル・アイデンティティをコントロールできることにあると考えています。
この約束を果たすために、私たちは水面下で、Polygon IDの開発に取り組んできました。そして今日、次世代のインターネットに向けた自己主権型かつ分散型でプライバシーに焦点を当てたIDサービスであるPolygon IDを発表しました。
この新しいIDプラットフォームの特徴は、世界で初めて、プライバシー技術兼ブロックチェーンのスケーリング技術であるゼロ知識証明(ZK)を基盤にしているということです。
Polygonはゼロ知識証明(ZK)を戦略的ビジョンの中核とし、関連プロジェクトに10億ドル(約1100億円)を割り当てています。Polygon IDは、急速に成長しているそのようなプロダクト群の中の、最新プロダクトです。
Polygon IDの特徴
・ブロックチェーンに基づくIDで分散型・自己主権型モデルを実現
・ゼロ知識証明(ZK)が直接埋め込まれているプロトコルで究極のプライバシーを実現
・スケーラブルでプライバシーの守られたなオンチェーン検証で、分散型アプリと分散型金融の発展を後押し
・既存の規格やエコシステムの開発においてオープンに利用可能
Polygon IDは、Iden3プロトコルとCircom ZKツールキットを利用しています。今後はPolygonが両プロジェクトのスポンサーとなりますが、オープンソースのプロトコルやツールをより幅広い開発者のエコシステムに提供するという、コミュニティ主権の精神を守りながら運営されます。
Polygonの共同創業者であるMihailo Bjelicは次のようにコメントしています。
「Polygon IDではデフォルトでプライバシーが保護されており、オンチェーン認証とパーミッションレス認証が提供されています。現在のデジタルIDの分野には、これらすべての条件を満たすものはありません。そしてこのプロダクトは、ゼロ知識証明がより良い世界を作るのにどう役立つかを示す事例でもあります。」
ビジョンと行動指針
・デフォルトでプライバシーが保護されているアイデンティティは、将来性があり、世界のデジタル・アイデンティティ保護へのニーズに対する唯一のソリューションです。より強固にプライバシーを保証することにより、より多くのユースケースが可能になり、その結果、より多くのユーザーを取り込むことができます
・分散化と自己主権の原則:ユーザーが自身のアイデンティティと個人データをコントロールできるようになることで、社会的な協調を可能にし、中央集権的なサービスから権力を取り戻すことができます
・人間を基盤としたネットワークを構築するためのコンピューターへの信頼および評判(dWeb-of-Trust):ID属性は証明(または認証)として表現でき、それらを組み合わせて複合証明を作成することができます
・第三者を経由せずに、あるIDから別のIDへのオープンで許可のいらないない証明の発行:アイデンティティは受動的なものではありません。IDは組織だけでなく、個々のユーザが利用できるようになり、それにより新しいユースケースが可能となります
ブロックチェーンネイティブなアイデンティティとオンチェーン検証
・表現可能な証明規格(Expressible claim standard)は、Non-fungible token(NFT)やVerifiable credential(VC)よりも優れています。NFTにプライバシーはなく、発行コストも高いです。VCでは、選択的開示とZK拡張機能によりある程度のプライバシーが提供されていますが、アプリケーションに必要な表現力と複合性に限界があります。またVCをオンチェーンで検証するには、多大なコストがかかってしまいます
・PolygonIDの開発にあたり、社内の専門知識を活用し、Circom 2.0を使用してzkSNARKと呼ばれるゼロ知識証明(ZK)の回路をコンパイルする際に生じる複雑さを軽減しています
・開発者やパートナーとの提携や受け入れは、ネイティブアプリケーション、SDKおよびホワイトレーベルのソリューションを含むIDクライアントツールキットを通じて実行できます
・プライバシーに配慮したオンチェーン検証は、zkProofリクエスト言語を使用して行われます。zkProofリクエスト言語とは、ユーザーが証明したい機密な属性をアプリが指定する際に利用される独自のプロトコルです
・Relayerでは、あらゆる主体が証明を発行できるようにするユニークなモデルであり、Web3アプリの発展を後押ししています。ユーザーの証明コストを削減・管理し、プライバシーを向上させ、ユーザーIDのスポンサーモデルを利用することにより複雑さを解消します
Polygon ID固有の主な価値提案とメリット
エンドユーザー向け:便利なプライバシーを実現するために
プライバシーは基本的人権であり、Polygon IDはユーザーがプライバシーを管理できるようにするための力を与えています。デフォルトでプライバシーが保護されているため、アクセスコントロールは検証者と共有するのではなく、検証可能な情報を証明することに基づいて行われます。
・ユーザーの端末で実行可能な最も高度なプライバシー
・ユーザーの匿名性を確保したアプリへのアクセス権
・Web3のプライバシーポリシーに準拠
Web3プロトコルの場合:高度なプライバシー特化型オンチェーン証明
Polygon IDにより、新しい形の評判を構築できるようになります。例えば、DeFiにおける金融の基本要素や社会保障のための分散型信用スコアなどが可能になります。これには、分散型スコア、DAOにおける新しい意思決定とガバナンスモデルを可能にするための議決権または投票委任および専門的知識への評価、Web3ゲームプレイヤーの信用プロファイルならびにソーシャルアプリケーションのためのプライバシー特化型で検閲耐性のあるP2P通信とインタラクションなどが含まれています。
・プライバシーを保護したまま直接オンチェーンでアイデンティティに関する信用を暗号学的に検証することができ、管理者を必要としない実行およびアクションを引き起こすことができます
・ユーザーとのインタラクションを実行するために仲介者に頼る必要はありません
・プライバシーも確保したまま一般的なスマートコントラクトやNFTを取り扱い、証明を作成できます
組織・企業向け:信頼性の高いオープンなエコシステム
Polygon IDは、様々なIDや信頼性の高いサービスを構築するために必要な全てのものが揃っているプラットフォームです。信頼を基盤にした市場や信用マネジメントが、インセンティブ専用のレイヤーを作り新しい認証サービスやアクセスサービスを構築できるよう、オープンでエンタープライズ対応のエコシステムを築き上げています。
・既存のソリューションを展開し、新たなソリューションを生み出すことができる環境があります
・KYC、KYB、証明書
・新興の暗号資産システムを活用するための様々な選択肢を持つ流通チャネルとなります
プロダクトロードマップ
Polygon IDは現在開発中です。Polygon IDは、一連のツール、プラットフォームサービスおよび実例として構成されます。開発者はこのソリューションにより、自身がPolygon IDのオンチェーン機能を活用して構築したアプリやdAppsを、学習、テストおよび統合することができます。
プロダクトポートフォリオ(シンプルさと包括性に注力)は以下のとおりです。
・Polygon IDウォレットアプリ- オープンソースのユーザーおよび開発者用のキットで、カスタムアプリケーションに統合したり、ホワイトラベル化することができます
・Polygon IDプラットフォーム- 開発者や組織が、アプリケーションのトラストライフサイクルや、ZKP、信頼できるソースなどの要件を定義し管理するために使用できる、オープンでパブリックなプラットフォームです
・Polygon ID Connect - ユーザーのウォレットとアプリケーション間のアクセスを統合するためのパブリックなサービスプラットフォームです
開発予定
2022年第1四半期 - Polygon DAOの概念実証
2022年第2四半期 - IDウォレットアプリとSDKを一般公開し、証明発行、プライバシー保護認証ならびにzkProof生成および検証などの基本機能をサポート
2022年第3四半期 - IDプラットフォームとSDKをフルリリースし、zkQuery言語、P2P通信プロトコル、Relayerサービスなどのカスタムユースケースを開発者が実装可能になる
最新の開発情報は、こちらのウェブサイトをご覧ください。
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