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400円の善性

サークルで使う紙の印刷をするためにコンビニに行った。スマホからデータを送信して、いざ印刷だと小銭を入れようとした時、コピー機の残高表示が0円ではないことに気づいた。

400円。前の利用者はお釣りを出すのを忘れてそのまま帰ってしまったのだろう。コンビニのコピー機ではよくあることだと思う。さて、私は現在とてつもなく金欠である。バイトを辞めてしまっていたがために収入がないことに加えて、奨学金も年度の初めだからと入金が遅い。本当にあの制度って悪だよ。月初に来るはずのものが19日とかに来て耐えるわけないだろ。
ともかくこの時もかなり財政状況は厳しかったわけだ。正直そういう時の400円ってだいぶ大金である。おかし二つくらい買えちゃうし、なんなら一食分くらいにはなるし。

印刷代は50円だった。そのくらいならと400円の残高をそのままに印刷開始のボタンを押した。刷り終わった紙を取って、クリアファイルの中に突っ込んで、レバーを下げて残りの350円を出して、財布を開いた。
50円玉だけを小銭のスペースに入れて、100円を出して400円をレジまで持っていった。善性を捨てきれなかった。中途半端だ。あまりにも中途半端。そしてレジに持っていったところで店員さんからしたら逆に迷惑だったかもしれない。ただそれを免罪符みたいにもしたくなかった。その時の私は善い人間であることを捨てきれなかったのだろう。

400円の中途半端な善性の話でした。カッコつかないね。


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