【初心者向け】PLO(ポットリミットオマハ)のポイント

*2022/03/30 一部加筆修正しました.

このnoteはPLOに興味あるけど,どんな風に打っていけばいいか分からない人向けに書いています.
残念ながら日本語での無料のPLOの良い教材はありません.
(有料サービスでは3MPCくらいでしょうか?2022年3月現在,特定のコーチは不在のようですが,過去の動画は見れるようです.)
ここではもともとNLHを打っていた自分が,PLOを打つにあたり意識したこと,PLOで大事だと思うことを記載します.

1. プリフロップの考え方・鍛え方

 読んだ記事の中で初心者の方にも分かりやすいのは下記の記事です.

あとはハンドのエクイティ分布の考え方です.
少し値が張りますが,ヒルマさんのnoteはよくまとまっています.

 visionやPLO trainerでひたすらにトレーニングして染み込ませるという方法もあります.自分は1ヶ月visionを契約して打ち込みました.visionのプリフロップはレーキが低い環境なので,レーキも考慮するならPLO trainerのほうがよさそうです.
 ただしNLHと違いプリフロップはそこまで厳密に気にしなくてもよいと思います.なぜなら各ハンドのエクイティが近く,ポストフロップを気を付ければそこまでプリフロップの差が影響しないからです.とは言え,慣れていないうちはタイトなほうがいいでしょう.

 3bet, 4betについて

 始めはタイトでも構いません.OOPからの3betはタイトに,IPではある程度コネクトしたハンドはシングルスーテッドでもコールして戦っていいと思います.後述しますがOOPは難しいので,AAxx, きれいなランダウン,コネクトしたダブルペアあたりをまず3betレンジに入れられればいいと思います.4betはAAxxだけでいいです.相手の4betもほぼAAxxだと思っていいです.

2. ポストフロップの動き

 2-1. フロップでの判断

フロップが開いた時点で気にすることがいくつかあります.

・ フロップの時点での強いハンドを正確に把握する
・ 目の前のハンドが現時点でどの程度強く,また,ターン以降にどのように発展するか考える

順に見ていきましょう.
・ フロップの時点での強いハンドを正確に把握する
当たり前だろ!と思われるかも知れませんが,大事です.ストレートの見逃しはあってはなりません.
フロップがA32,KQT,332,954・・・.すぐに強いハンドから順に思い浮かびますか?ここでつまずくと後が大変です.見た瞬間に把握できるようにしましょう.さて次です.
・ 目の前のハンドが現時点でどの程度強く,また,ターン以降にどのように発展するか考える.
ここで自分のハンドの強さの見極めをします.例を挙げますので考えてみてください.どちらが現状ナッツで,どちらがショーダウンまで行った場合に勝ちそうでしょうか?フロップオールインは好ましいでしょうか?

例:シングルレイズドポット(Single Raised Pot; SRP)
ボード:Ah3h6d
hero(BTN):AcAsQd3c
相手(BB):8d7d5h4h

・・・考えましたか??
Heroは現状はセットで強いですね.フロップナッツです.
しかし発展性はどうでしょうか?フラドロのバックドアすらありません.フルハウスへの発展性はありますが3のアウツを自分で抑えてしまっています.
一方で相手の8d7d5h4hはどうでしょうか?ハートのフラドロとダイヤのバックドアフラドロもあります.ストレートへ進展するターン,リバーのカードは数多くあります.
極端な例ですが,この場合,Heroと相手のエクイティはおよそ40%vs60%で相手が有利です.つまりHeroのハンドは現状では勝っているけど,リバーまでに負ける可能性が高いハンド,ということになります.例えばフロップでBBからレイズが返ってきたときに,フロップでオールインまで行きたいでしょうか?できればターンでラグが落ちてからがいいでしょう.仮にターンがKcだった場合,エクイティは55%vs45%になります.これならほぼじゃんけんなので,一応ポットが大きくなってもよさそうです.逆にターンで9dが落ちたら?相手はターン時点で何も役ができていないにも関わらず,エクイティはHero37.5%,相手62.5%です.リバーで相手が勝つ可能性が高くなってしまいました.

このように,PLOはターン以降でナッツ,エクイティがコロコロ変わることがあります.そのため,フロップ時点で「目の前のハンドが現時点でどの程度強く,また,ターン以降にどのように発展するか考える」ということをしっかり押さえる必要があり,それを踏まえた上でフロップでポットを膨らませるのか,小さく抑えておくのか,ということを決定していきます.

フロップの時点での自分のハンドの強弱と発展性がすぐわかるようになったら,次です.

 2-2 ベットするときに考えること

強いハンドがあるとき闇雲にベットするのはやめましょう.
いくつか気にする必要があります.

・ ベットする場合,バリュー先を明確に意識する
・ ポットを大きくするときは,リドローの有無も考慮する

これは大事です.順番に説明します.まずバリュー先の意識.
先ほどと同じボードで,Heroのハンドを変えて考えてみましょう.

例:SRP
ボード:Ah3h6d
Hero(BTN):Kc6c6s4s
相手(BB):???

今回は相手のハンドが分かりません.順番に考えましょう.
AAxxがナッツですね.ただしSRPですので,AAxxは3betに回ることが多いですから,BB側にはほぼ残っていません(実際にはバランスの取れた相手ならAA72rやAAK2rなどが残っていますが,なかなかそんな相手は見かけません).33xxは相手のレンジにもありそうです.また,A6xx, A3xx, 63xxといった2pairも相手が持っていておかしくありません.フロップはフラドロがコールしてくれるでしょう.AKxx~ATxxも相手にあっておかしくありません.現状ではHeroのハンドは十分強く,これらのハンドめがけてバリューを打ちましょう.

例:
ボード:Ah3h6d, Tc

ターンでTcが落ちました.TTxxには負けますが,フロップで想定したCallハンドにはまだ勝っています.TTxxはフロップで抵抗できずfoldするコンボも多いし,ATxx(AxQhThJxなど)がバリュー先として増えたかもしれません.実質Heroはまだ勝っているでしょう!引き続きバリューベットしていきます.

例:
ボード:Ah3h6d, Tc, As

なんと!リバーでHeroがフルハウスになりました!喜びのBet!!!

負けます.

 ターゲットを思い出しましょう.フラドロや2pairから始まり,ターンの時点ではATxxもいたはずです.相手側にはリバーで捲ったハンドが多数あり,強くベットしコールされた場合は大抵負けています(33xxもリバーの大きなbetにはfoldすることがある.バリュー過多なので.).この場合は相手が諦めたフラドロや,Axxxでフラドロがあって付いてきたハンドに対してショーダウンでポットを取るほうが利益的だと思います.役の強弱でbetするかどうか決めないようにしましょう(フルハウスだからbet!!とか).すべての役の組み合わせを想定し,その中で自分のハンドがどの程度強いか推定し,バリューをとれるのか,チェックでショーダウンするのか,それともブラフで相手を降ろすのか,を意識しましょう.

 次にリドローついて.これはハンドの発展性を把握していることとほぼイコールなのですが,ポットを大きくする場合には考慮するポイントです.特にOOPでは意識する必要があります.IPでは相手がcheckの場合にこちらもcheckすればポットはそのままでコントロールがOOPに比べ容易だからです.
 例えば上の例(SRP, BTN(hero)vsBB)では,HeroはGTOでもフロップbetします.BBがCallしターンでフラッシュが完成したとき,BBがcheckしたときは,Heroはcheckでフルハウスになる可能性があるアウツをフリーで得ることができ,また,必要以上にポットが大きくなることもありません.このようにIPはポットコントロールの観点からも有利です.
 一方でOOPですが,強いハンドはポットを大きくしたい.ですが,難しいのはどの程度強いハンドでポットを膨らませるか,ということです.その時にリドローがあるかどうかを判断材料にします.

例:SRP
ボード:8s7h6h
Hero(UTG):A885
相手(BTN):????

 フロップでHeroがcheck, BTNがベットしてきたと仮定します.HeroはA885のコンボのいずれかを持っているとします.A885は,GTOではコンボ全体の57%でコール,43%でレイズします.どのようなスートでレイズを返すでしょうか?それはフラッシュドロー持ちの場合です.Ah8c8d5hのようなハンドですね.もちろんフラッシュドローがなくてもナッツストレート相手にフルハウスというまくり目はあるのですが,フラッシュドローがつくことで,その可能性がさらに高まります.(フラッシュドローがない場合は基本的にコールにとどめます)
このようにポットを大きくする場合,特にOOPでは,どのくらいリドローがあるかどうかも大事な検討材料になります.

さて,バリューの次はブラフです.
ブラフに関してはLillianさんのnoteが参考になります.

基本的な考え方は同じです.一番簡単な考え方は,ナッツをブロックしているハンドでブラフする,ということです.

例:
UTG open, BB(hero, JJ44ss) Call
フロップ:Q98r

この場合,JTxxのコンボがナッツです.Heroのハンドはここをブロックしており,ブラフしやすいハンドということになります.
ブラフが苦手な人はバリューだったら何で打つかをまず考え,そこを抑えているかどうかでブラフするとよいと思います.

さて,改めて振り返ります.

・ フロップの時点での強いハンドを正確に把握する
・ 目の前のハンドが現時点でどの程度強く,また,ターン以降にどのように発展するか考える
・ ベットする場合,バリュー先を明確に意識する
・ ポットを大きくするときは,リドローの有無も考慮する
・ ブラフはナッツをブロックしているものが考えやすい

3. OOPとIP

OOPとIPではNLH以上に差があります.
OOPで強いハンドを持っているときを考えてみましょう.

例:SRP
フロップ Kh6d7d
Hero(UTG) AAKQds
相手(BTN) ????

さて,上記のシュチュエーションではUTGはハンドとしては強いですが,発展性に乏しいですね.ここで初心者や弱い人がやりがちなのが,「相手にフリーカードを与えたくないからとりあえずbet」です.NLHではそれでもいいと思います.理由はフロップの時点で勝っているハンドは多くの場合,リバーでも勝っているからです.しかしPLOはターン以降で大きく動きます.なのでCallされた場合に相手のエクイティが上がることも多いです.そこを理解した脱・初心者は今度は発展性に乏しい弱いハンドをフロップcheckするようになります.一方で,心理的に,フロップ時点で強いハンドをcheckしフリーカードを与えて相手に捲られたくない気持ちが強いのか,set以上があればとりあえずbetしている人が多いです.結果としてcheckレンジが激弱になります.このバランスがとれていない人が非常に多いです.まずはOOPでチェックレンジを強くすることを目標にしましょう.

逆にIPではこのリークを利用してブラフすることができます.OOPのcheckレンジが弱い人が多く,例えばダブルバレルに適切に対応できるレンジが残っていないからです.強い相手だとOOPのcheckレンジに強いハンドが残っている状況を見ることが増えてきますが,それでも,ショーダウンで勝っていないハンドでダブルバレルを打てば大抵の場合ポットを勝ち取れるでしょう.例えば相手がフロップとターンもチェックのとき,相手側に強いハンドはほぼ皆無です.もちろんコーラー相手にブラフが厳禁なのはNLHと一緒ですが.
ちなみにIPからブラフしてくる人は多いですが,リバーまで打ち切ってくる人は多くありません.リバーまで打ち切って来たら,相手の傾向がわかっていない限り,フォールドすることが良いでしょう.

4. 最後に

かなり簡潔にまとめました.実際の判断はエフェクティブスタックやポジション関係,ボードテクスチャー,相手の傾向などで変わってきますが,ポイントを押さえることで学習しやすくなると思います.

・ フロップの時点での強いハンドを正確に把握する
・ 目の前のハンドが現時点でどの程度強く,また,ターン以降にどのように発展するか考える
・ ベットする場合,バリュー先を明確に意識する
・ ポットを大きくするときは,リドローの有無も考慮する
・ ブラフはナッツをブロックしているものが考えやすい
・ OOPでチェックレンジを強くする
・ IPでは相手のチェックレンジに対して遠慮なくブラフしていく

これらを抑えられれば最初からかなり戦いやすくなる&学習しやすくなると思います.
一般的にPLOのレベルはNLHと比べ低く,勝ちやすい環境です.ただし分散はNLHより大きいことは留意してください.分散もPLOの魅力の一つです.
このnoteが上達の助けになればと思います.一緒に頑張りましょう!

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ポーカーについてつぶやきます.サポート頂けると記事を書く際のコーヒーの消費量が増え,効率が増しますので,出来ればよろしくお願いいたします.