【どちらも】NLHからPLOへ,PLOからNLHへ【ポーカー】

 ポーカーと言えば,圧倒的人気を誇るのはノーリミットテキサスホールデム(No Limit Texas Hold'em; NLH)です.しかし,ポーカーは他にもいろいろあります.今回は(たぶん)NLHの次に人気がある(と筆者が思っている)ポットリミットオマハ(Pot Limit Omaha; PLO)について,かつてNLHをやっていて現在はPLOをメインにしている筆者の視点で記載をします.

 NLHで勉強したことが役に立つのか,違いはあるのか.PLOをやるとNLHに還元できるのか.そのあたりの参考になればと思います.

 順番に見ていきましょう.

1. コミュニティカードとGTO

NLHもPLOも,フロップ,ターン,リバーとコミュニティカードがあることは同じです.ボードカードとも言います.NLHで学んだボードテクスチャーの理解,それに伴うレンジアドバンテージ,ナッツアドバンテージの考え方とGTOでのアクションの理解はPLOでも同様に扱うことができます.

例)
UTG vs BTN SRP
Flop;K95r

今回はスートは考えないことにします.NLHの場合と,PLOの場合,両方についてのGTOを確認してみましょう.
■NLHの場合
フロップでUTGは高頻度でCBを打てます.K highボードで高頻度でCBを打てる理由は,Lillianさんのnoteに詳しく記載がありますので割愛しますが,単純に言えばKがBTNのコールレンジにあまり絡んでいないからです.
参考

■PLOの場合
フロップでUTGはほぼCBを打てません(レンジの93%でcheck).理由はKKxxのコンボがUTGよりもBTN側に多いからです.(UTG側にもKKxxはありますが,BTNのコールレンジに占めるKKxxの割合が多いということです)
UTGがcheckした後,BTN側はレンジの48%でベットすることができます.

このように,NLHとPLOで同じボードなのにGTOで見るとアクションに違いが見られますが,その理由はプリフロップにおけるハンドの割合(レンジ全体に絡んでいるかどうか)であり,考え方としては同じです.NLHで学んだことはPLOでも活用できます.ただし,例えば「UTGvsBTN SRPでUTGはK highボードで高頻度CBが打てる!理由?そんなの関係ねぇ!!」って人は無意味です.しっかりとした理由付けが出来ていることが大事です.
*GTO wizardなどの登場でGTOに触れることが出来る機会は増えました.しかしながら,「何故」を理解するように努力しないと意味がありません.自分と相手のレンジの想定,GTOでのアクション,そこからのズレを想定し吟味することが必要だと思います.

2. NLHで学んだエクスプロイトは有効か

GTOと同様に,NLHで学んだエクスプロイトはPLOでも有効だと思います.PLOのsolverを実際に持っていて検証したわけではないので,実際に打っている印象ですが….あなたがNLHで検証したsolverでのnode lockでの検証は無駄にならないと思います.
*エクスプロイトの記事はあまり見かけません.それはカウンター戦略自体が主なwinrateを上げる方法になるからであり,それを公開するメリットはほぼ無いからです.強い人の動画を見る,実際に普段の自分とは違うアクションをしてみるなどが学習方法としてあります.一番良いのは自分でsolverを使いnode lockして検証してみることです.

3. アグレッションを上げる.気合太郎と闘う.

NLHでの近代戦略は相手のエクイティを実現させないことが重要になりますが,PLOではハンド毎のエクイティ差がNLHよりも少なく,相手をフォールドさせる価値が高まります.そのため,NLH以上にアグレッシブにアクションすることがよくあります.もしNLHをやっていて「自分はパッシブ,タイトすぎる...」だったり,「気合太郎が苦手…」だったり,「ブラフが苦手...」と思っている人にとって,PLOは良いアグレッション向上の修行の場になるでしょう.

上記のハンドはGTOではほぼfoldで,極低頻度でraise(フラドロなければcallもなし)なのですが,3bet側のアグレッションが過去の傾向から相当高く,また,ペアボードでのCBもGTOより高頻度であることが予想されたため,エクスプロイトとしてフロップでcheck/raiseすることにしています.

4. PLOでの戦いをNLHに還元する

PLOをある程度打ち込むと,ポットレイズとオールインに抵抗がなくなります(笑)...というのは半分冗談ですが(半分は本気),PLOで学んだことをNLHに生かしましょう.NLHでも今は有名な「ブロッカー」の概念,木原さんのブログによると最初はPLO, 2-7で重宝されていたものがNLHに輸入されたようです.

さて,ここで一つハンドを紹介します.相手のアクションに注目してください.

本来ならターンで相手はfoldすべきですが,低頻度でCallもあり得ます(まぁIPだしブラフしようと思っていたのかもしれません)
リバーのheroのbetはミスプレイですが,相手のアクションに注目です.リバーでレイズを返してきました.ナッツなのでしょうか?ショーダウンで,相手はJTT5であり,ブラフと判明しました.このようにPLOではナッツを強烈にブロックしているハンド(今回の場合,Tを2枚抑えていると相手のナッツのコンボが大幅に減る)で,ブラフを考慮することができます.

これをNLHに生かしましょう.
GTO wizard先生に登場してもらいます.SB vs BB SRP, ボードはターンで同じK765です.フロップは互いにcheck, ターンの時点でのSBのアクションです.

画像1

ターン時点でのナッツは89(黄枠)ですね.トップヒットしているK hit(茶色)のbet頻度があることは今回置いておいて,ブラフハンドの選定を眺めてみます.89を抑えているコンボのベット頻度が高いですね(J9o, T8oなど,浅黄枠).あとは下のストレートを抑えている4x(青枠)の頻度が他と比べ高いように見えます.NLHでもナッツをはじめとする強いハンドをブロックしているハンドはベット頻度が高くなるようです.

NLHでブロッカーを考えるときはスートの組み合わせも考える人がいると思いますが,PLOでは組み合わせが多すぎてあんまり僕は意識してません.本当はしなきゃいけないんでしょうか?誰か教えてください.

参考)NLHのブロッカーについてはヨコサワポーカーチャンネルも参考になります.

■最後に

・ NLHでのGTOの勉強は無駄にならない
・ エクスプロイトの勉強も無駄にならない
・ 自分のアグレッションを上げる/アグレッションの高い相手(気合太郎)と勝負する機会が多い
・ ブロッカーの概念を理解しやすい

NLHとPLOを比較しながら紹介してみました.
PLOも面白いので,これを見たNLHプレイヤーが,ちょっとPLOもやってみようかな?と思ってもらえればうれしいと思います.

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