定型人解体④

 ついに私の心理検査のお話もこれで最終回となった。最後は「ジョンが見つけた私の良いところ」で締めくくりたいと思う。私は自分のダメなところならいくらでも列挙できるのだが、良いところはなかなか答えることができない。しかし心理検査を通してジョンが私の良いところをいくつか探し出してくれたので、これからはそれらを自分の良いところとして胸に押しピンでとめておきたいと思う。

 ①知識が豊富
早速性格と関係ないやつがきてしまった。まあいい。褒めてることには違いないのだ。おそらくジョンは検査内での私の言葉選びなどからこの点を挙げたのだろう。ジョンは私と違って健康的な成人男性なので私とは知識の領域が全然違うためにこう感じたのだと思う。どちらかというと「知識に偏りがある」の方が正しいかもしれない。うん。サイクロプスとかシャムの双子とか知らなくても普通は生きていけるもんね。でも私の周りではこの程度一般常識なのだよジョン。私たちは住んでる世界が少し違うようだ。

 ②自身の内面と向き合って物事を深く考えることができる
これについては1周回って短所な気もするが一応褒め言葉として受け取っておきたい。確かに私は自分の内面と向き合い、何かにつけてうじうじ考える癖がある。それが福と転じたこともたくさんあっただろう。しかしながら己の内面と向き合いすぎるのも少し問題があって、自分にしか目が向いていないというのは大抵病むきっかけにもなる。自分以外の何かに目が向いている時の方が心の調子が良いことすらある。自分の内側と外側、両方にバランスよく目を向けることがメンタル面の健康を保つ上では重要であろう。まあこれに関してはそのスキルを持っているがほどよく使っていく、くらいの気持ちで受け止めておこうと思う。

 ③自分の態度や見解を変化させるなど、思考態度に柔軟性がある
 これもまた悪く言えば、他人の意見に影響されやすいという見方もできるが、頑固な年寄りになる可能性が低いという見方をすれば長所かもしれない。自分でも新しい考え方や価値観は積極的に取り入れていきたいと考えていて、自分より年下の友人の意見も真摯に受け止めている自覚はある(ほんまか?)。遠慮なく意見を言ってくれる年下の友人の存在はありがたいものだし、大切にしていきたいと思っている。もちろん私より年上で良い意見をくれる人もいるので、適宜取り入れながら自分をアップデートしていきたいと考えている。

 ④他人の気持ちに対する想像力が豊かである
これは少し意外だったかもしれない。というのも私はどちらかというと他人の気持ちを察することが苦手でいつも苦労しているからである。悪い方に想像しすぎて病むこともあるためこれも逆に言えば短所になり得るが、上手く使っていけば人間関係は円滑に進みそうなのでなるべく心に余裕をもって使っていきたい長所である。

 ⑤性格は内向的で、想像力を膨らませて物事を把握し、内面を充実させることによって満足感を得る傾向がある。
 確かに内向的である。陽キャでもウェイでもパリピでもマイルドヤンキーでもない、どちらかというと陰の者である。そしてここでも想像力が登場しているが、おそらく感覚的に物事をとらえたりするのが好きなタイプなのであろう。研究者タイプというよりは芸術家タイプみたいな。よく無料の職業適性テストなどをやっては「あなたは芸術家タイプです!」と言われ自分が社会人には向いてなさそうなのを感じるなどしていたことを思い出す。確かに内面を充実させることは好きで、美しいものや幻想的なものなどに惹かれやすく、1人で本を読んだり絵を描いたりするのが好きな子どもだった。これは確かに当たりである。

 以上がジョンが見つけた私の良いところ5点であるが、何にも良いところがないと思っていた私にも少なくとも5つは良いところがあるのだということに気づけただけでもありがたいものである。しかしながらどんなに良いところがあっても私の不安と自他境界の曖昧さで台無しにされかねないところがあるので、良いところはそのままで、不安をお薬などで和らげ、自他境界の曖昧さは「自分がやりたいと思ったことを素直にやる」で改善していけたらと思う。あとはこの記事を読んでくれた方はなんとなくお気づきかと思うが、「良い面も悪くいえば…」と何かにつけて悪くとらえて考える癖が私にはある。それもまた不安によるマイナス仕草なのかもしれないが、こういう自分にありがちな考え方の癖とも上手く付き合っていければと思っている。

 私はまだ休職中だし、復職が上手くいくかどうかもわからないところにいるけれど、それこそジョンの言ったように「自分の態度や見解を変化させるなど、思考態度に柔軟性がある」という長所があるのだから、考え方や捉え方の癖を少しずつ変えたり、上手く付き合ったりしていくことができるかもしれない。いやできてほしい。やるのだ。やってやるのだの精神でこれからもぼちぼちやっていく所存である。長い長い自分語りではあったがここまで読んで下さった人、どうもありがとう。私の人生の模索はこれからも続く。ということで定型人解体、これにて完。

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