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劇団しようよ の あゆみ 18 『こっちを向いて、みどり』

さて。京都に2016年からできた「ロームシアター京都」。 そこで劇団しようよが公演をすることになります。 

ロームシアター京都のオープニング記念事業として採択されまして、京都に新しくできるロームシアター京都さんにて公演を行うことが決まりました。

当時としては、嬉しいニュースでした。前作『ドナドナによろしく』のこともあり、これからどうしていこうか悩んでいたこともあったのですが、この劇場さんで公演をさせていただきよかったと思います。 

作品の内容はこうです。 

とある男性が失踪します。その男性の妻、息子、同僚、その他多数の人間がその男について語ってゆきます。しかし、誰の話も噛み合わないのです。男のことをみんなが話しているのに、一向に男という像がブレていく。そして男はいつの間にか怪獣になり、皆の元へとやってくる・・・ 

そうですね。

前々回ご紹介した『ここに居たくなさ過ぎて』の発展バージョンのような作品でした。 この劇中にとある人物が失踪し、その人物の人格やそれにまつわる事柄が入れ違い、その人物そのものが怪獣になっていく。

そんなモチーフはずっと描きたかったことでした。 

なぜ父親が怪獣になるのか。それは、大原の家庭の事情もあるかもしれません。

家庭の事情というと大袈裟すぎます。そんな大したことはありません。平凡な「普通」の家庭です。でも普通ってなんなんでしょうね。本当に。 

僕は父親に、よく映画館に連れてってもらっていました。父親も映画が好きな人で、当時から今までたくさんの映画を観ているようです。そんな父親によく連れて行ってもらったのが『ゴジラ』シリーズでした。 なので父親というものを想起した時に、どうしてもそういった「怪獣」という要素が思い起こされるのでした。 

同時に、今でこそ、父親には感謝の念を持って接することができるのですが、当時の幼い頃の僕は父親が怖くてなりませんでした。なんていうんでしょうね。父親が怪獣かのように思えると言いますか。 

なのでこの『こっちを向いて、みどり』は、そういう大原の家庭の原体験のようなものがすごく反映された作品だったかもしれません。

父親という人物像がねじれ、怪獣のようになって姿を現す。明け透けにいうと、そんな大原の感覚がこの作品を立ち上げたのでした。 

上演は、良いものになりました。たくさんの方に観に来て頂けました。個人的には作品の練度をもっともっと高めたいと感じていましたが、当時できるだけのことはやったつもりでした。 

ともあれ真新しいロームシアター京都さんにて公演を行うことができ、とてもよかったです。

もちろん悔しかったこともたくさんありましたが良い機会になりました。 

また明日書きますね。 

お楽しみにしていてください。 

劇団しようよ 大原渉平

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