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ブルーエゴナクについて

ブルーエゴナクについて

今週末(2018年12月14日~16日)、北九州の気鋭の劇団「ブルーエゴナク」がロームシアター京都ノースホールで公演をおこないます。僕はまったくの部外者ですが、どうしても他人事に思えなくて、こんな風に文章を書くことにしました。

単刀直入にいいまして、みなさん、ブルーエゴナク観に行きませんか!!!と、そういうことが書きたいと思っています。


代表で作家演出家の穴迫くんとはかれこれ6年くらいの付き合いです。いつも彼の「視野」に、同じ演劇をつくる者として、憧れたり悔やんだり、共感と共鳴を繰り返したりしています。

はじめて彼に会ったのは2012年のgateという試演会イベントでのことでした。たまたまそこに僕たち劇団しようよも参加をして『ガールズ、遠く』というメガホンで叫び散らすパフォーマンスをしていました。そこで他劇団に出演していたのが穴迫くんでした。それから何度か、北九州に行ったりして彼の作品を短編・長編問わず、可能な限り観てきました。

そのどの作品にもある種、共通して感じる部分があります。それを明快なことばで言い表したい!と、そう思うのですがなかなかそれが難しい。
捉えどころをごまかすように、いつも穴迫くんの作品は姿を変えるから、だと僕は思っています。

でも、穴迫くんはもしかしたら、人間というものをいろんな角度から捉え直したい。信じてみたり、がっかりしてみたり、強引に関わってみたり、俯瞰して眺めてみたり。そういうことなのかな、と彼の作品を追いかけていて朧げながらに感じます。だから、彼の作品はニークだなと思うこともあれば、シャイだなと思うこともあります。乱暴だなと思うこともあるし、冷たい人だなと思うこともあります。僕はそこが面白いんです。

僕の劇団しようよもそうですが、日々作品のスタイルが変わっていってます。それは僕自身の舞台芸術に対する関心や信じている事がぐにゃぐにゃと日々変化しているからです。だから常々思うのは、劇団しようよのことをうまく他人に宣伝しづらい!ということなんです。コメディやってます。不条理劇やってます。前衛的なのやってます。すべてに当てはめられず、劇団しようよは8年活動してきました。
なんだか勝手ですが、ブルーエゴナクにも同じことを感じます。作家・演出家の穴迫くんという人を軸に、いつも大胆に演劇を組み立てる方法を変えてくる感じなんです。

前回2017年にアトリエ劇研で観た『ふくしゅうげき』をすごくおもしろく感じました。
いま、穴迫くんには社会がこんなふうに見えているのか。ぐにゃりと歪んでいて、曲がっていて、傾いていて。そしてその中には、人間に対しての失望と希望の両方を感じました。なにより物語の運び方に、穴迫くん独特のリズムがあってそれを楽しんだように思います。

つまりなにが言いたいかというと!!!!!じゃあ今回はどんな作品になるの!!!!ということです。
もしかしたら、僕が前回、感激した“あの感じ”が微塵もないかもしれない。まったく知らない穴迫信一が現れるかもしれない。もしかしたら大コケしてぜんぜんおもしろくないかもしれない!
そんなことを言ってしまったら、え、それはブルーエゴナクを勧める気あるの!?と問われるかもしれませんが、いや、待ってくれ!!
いま彼の目に見えるこの世界を、今回も僕は楽しみにしてロームシアターに行こうと思っているんです。

京都ではいろんな劇団とアーティストが活動していて、僕はこれまでいろんな劇を見てきました。面白いなと思えるものも面白くないなと思えるもの、たくさんに出会ってきました。
すべてが誰にとっても面白いと思えるものであれば、それはなんて幸せなことだ、と思いますが、そうなる訳もありません。
今回のブルーエゴナクの作品がどんな風に仕上がってくるのか、それはまだまだ想像できませんが、おそらく誰かにとっては素晴らしい作品になるだろうし、誰かにとってはそうでない作品になるかもしれません。
でも、なにより僕が勧めたい部分は、上に書いたような「穴迫くんにとっての視野」を体感してほしい。ということです。これまでたくさんの作品を見てきてそこは自身を持っておすすめできることだなと思いました。

繰り返し言いますが、僕自身はブルーエゴナクの回し者でもなんでもないです!

けど!!ある劇団が他地域に乗り込んで作品を上演する時の大変さをなによりもわかっているつもりでいます。そして体力的も精神的にも金銭的にも、想像を絶するリスクがあることだとも、身をもって体験しています。

同時に!地域を越えて作品を発表することに対して、彼らが大きな希望と覚悟を抱えていることもすごく想像できるんです。

個人的には、これからもブルーエゴナクは京都で発表をし続けて欲しい。そう思っています。それを叶えるためには、たくさんの人が今週末ロームシアターに足を運んでもらわないといけません。すべての劇団・アーティストに共通して言えるかもしれませんが、「観る」ことが一番の応援だし糧だしアーティストたちの未来だと思っています。

いや、なにもお情けで小劇場に行ってほしいなんて、思っていません!それはそれで、一度足を運んだらば、その会場でしか立ち会うことができない、人間の様や、ことばにできない空気。他のメディアでは描き起こせない魅力が舞台芸術には潜んでします。僕は、だから、小劇場は秘境だなと思ってるんです。文化的なセンサーをはりめぐらせたお客さんがやっとたどり着く魅力的な場所。そんな風に思います。だから、そんな秘境に、一人でも多くの人がたどり着いて欲しい。すごく、そう、思います。

そういうわけで!今週末北九州のブルーエゴナクいかがでしょうか!
個人的には木之瀬くんや松岡さんが出演するのもすごく楽しみ。最近ぐいぐい魅力を増してる平嶋さんもすごく楽しみ。
俳優陣、魅力的だと思います。ご期待下さい。

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ロームシアター京都×京都芸術センターU35創造支援プログラム‘’KIPPU”
ブルーエゴナク
『sad』

[作・演出] 穴迫信一
[出演] 木之瀬 雅貴 松岡 咲子(ドキドキぼーいず) 大石 英史 菅 一馬 福井 菜月(ウミ下着) 諏訪 七海 西村 貴治 平嶋 恵璃香(ブルーエゴナク)

2018年
12月14日(金)~12月16日(日)
12月14日(金) 19:30
12月15日(土) 15:00/19:00
12月16日(日) 15:00

[料 金]
◎一般前売=3,000円
◎ユース(25歳以下)前売=2,500円(当日料金500円増)
◎高校生以下 前売当日一律=1,000円

[会 場]
ロームシアター京都 ノースホール

http://buru-egonaku.com/sad/

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