ミリアニ感想文〜4ヶ月お疲れ様でした〜



序文【冒頭に差し込む総括】


 先日12月24日、地上波で朝10時から放送していたテレビアニメ「アイドルマスターミリオンライブ!(以下ミリアニ)」が最終回を迎えました。

 10月からテレビ放送が開始してから丸3ヶ月、8月半ばから始まった劇場先行上映から数えるとおよそ4ヶ月。怒涛とも呼べるアニメイヤーが無事エンドロールを迎えたというわけです。
(年が明けてからもBlu-ray発売記念とかオールナイト応援上映とか、まだまだお目にかかる機会はあるようですが、それはさておき)

 先行上映は第1幕を5回、第2幕を3回、第3幕を4回と、計12回観に行き、テレビ放送もいくつかリアタイできない回はありましたがきちんと録画をして全話見届けさせていただきました。
(例外として1話だけはSDカードが限界を迎えていたのか何なのかわかりませんがまともに録画できていませんでした。悲しい)



 先に感想を言いますと、すごいよかったですね。

 なんというか、「アイドルマスターミリオンライブ!」を見せてもらった、という感じでした。

 「何当たり前のこと言うてんねん」と思われるかもしれませんが、これってすごいことだと思うんですよね。

 10年の歴史があって、その間ほぼ絶えることなく情報が供給され続けている作品を、30分アニメの12話で表現するというのは。

 比較するわけじゃあないんですけど、アニメ「アイドルマスター(以下アニマス)」や「シンデレラガールズ(以下アニデレ)」の二作に関しては、「アニメはアニメ」と割り切って、同一世界観の別世界線のオリジナルストーリーを分岐させている、いわゆるメディアミックスの一環という印象がありまして。
(アニマスは当時最新作の「2」をベースに作られてはいましたが)

 そこへ行くと、「ミリアニ」は「アイドルマスターミリオンライブ!」の自己紹介みたいな作品だと思ったんです。

 キャラクターや楽曲、世界観や空気感等々、あらゆる要素全部ひっくるめて「私達がミリオンライブです!」と宣言するようなシナリオを、約6時間分にギュッと凝縮してお出しされたような感じでした。

 けどその自己紹介がすごく綺麗にまとまってて、聞き取りやすくて。

 人間で例えると「あ、こいつ絶対いいやつだな」と思わせるような、絶妙な塩梅だったんですね。

 10年分の情報量があるとはいえ、全部を無理矢理ギュウギュウに詰め込んでいるわけではない。

 とにかくいろんなことをたくさん伝えようとして、文字数の多い文章を早口で捲し立てているわけでもない。

 けれども要点はしっかりと捉えていて、しつこくなり過ぎないように散りばめて、その上でグリー版とも、「シアターデイズ(以下ミリシタ)」とも違うストーリーを展開して。

 ストーリー上は「765プロライブ劇場」のこけら落とし公演で一区切りとなっているので、「ミリアニ」全体を通してミリオンスターズのエピソード0みたいな立ち位置なのに、これまで築いてきたミリオンライブの軌跡を見せていただいたような心持ちでした。




 褒め言葉なんてそれこそ星の数ほどあるでしょうが、そういう意味で私の「ミリアニ」の感想は「「ミリオンライブ!」を見せていただいた」の一言に尽きます。
(実際、公式がやってた先行上映のアンケートにもこの一言だけ書いて送りましたし)

 とまあ、全体の感想はこのへんにしておくとして。

 こんな感じで「ミリアニ」の読書感想文をまったり書き連ねていこうかなと思います。

 ホントはテレビ放送が終わるまでのどっかで書ければいいなぁと思ってたんですけど、先行上映見終わった後が忙しすぎて、日曜朝10時なんてメチャクチャ見やすい時間なのに地上波リアタイできないくらい日がいくつかあるくらいだったのでここまでもつれ込んでしまいました。

 ただあくまで読書感想文なので。論文とか考察文とかではないので。

 だいたい中身のない「ここ好き」、「ここよかった」、「かわいー」みたいな所感しか出てこないと思うので、そこは悪しからず。




【5回観に行った第1幕】


 冒頭から「ソフトボールをする未来ちゃん」という、今までほとんど触れられてこなかった未来ちゃん元ソフトボール部という要素が回収されてて、いきなり懐かしい気持ちになっちゃいました。
(アニメではソフトボール部所属というわけではなく、いろんな部活の助っ人をしているという設定でしたが。グリマスとミリシタではアイドルになるために部活を辞めたって話でしたが、アニメでは結局部活には入らずにアイドルを選んだ、ってことなのかな)

 第1幕(地上波で言う1話〜4話)で特によかったのは、なんと言っても2話のオーディションでしょう。

 私が静香Pだからということももちろんあるのかと思いますが、それを差し引いても第1幕のあそこは「ミリアニ」全体で見ても屈指の名シーンだと思います。

 1話から2話にかけての話の流れで、アイドルになるためのオーディションに応募する不安や躊躇い、実際にオーディションに臨んだ時の緊張、緊張が頂点に達した時の焦りや恐怖。

 どんどん追い詰められていく静香の描写が鬼気迫っていて、初見時それはもう胃がキリキリ痛みました。

 だからこそ回想場面でよぎった未来ちゃんの「私がもう、静香ちゃんのファンなんだもん!」っていうセリフが余計にグッときたんですね。正直ちょっと泣きました。

 ああいう胃が痛むシーンは、報われるからこそ自分は見ていられるんだなぁって心底思いましたね。

 ミリオンを知っている身として、絶対大丈夫って頭でわかっていてもハラハラしましたし。

 プロデューサーから「合格です」と言い渡されて目に涙を浮かべる静香を見た瞬間、「よかったね……」という謎のカタルシスがありましたし(ここで名前を呼ばれた瞬間不安そうな顔をする静香の反応がリアルだなとも思いました)。




 個人的第1幕のMVPは2話でしたが、一番「ミリオンライブ」を感じたのはやっぱり4話ですかね。

 なんと言っても(紬と歌織さん以外)ミリオンスターズが全員出てますし。

 あそこで打ち明けられた未来ちゃんやプロデューサーの思いがきっかけでチームになっていくって空気が綺麗でしたし。

 第1幕の終わりにあの話がきたのは、偶然かもしれないけどすごく今後にワクワクできる締め方でしたね。

 あと、ちゃんとした情報共有と報連相は大事だなって(ボソッ




 あと個人的に、未来ちゃんの両親と静香のパパが出てきたのは嬉しかったです。

 第2幕で再登場した時も思いましたが、春日家は本当にこの両親にこの娘ありって感じで。

 すごく愛されて育ったんだなってことが可視化されたのは見ててほっこりしちゃいました。

 (Twitter(あXか)のどこかで「静香ちゃん父子家庭なん?」みたいな反応を見て、違うわと思いつつ変に感心してしまいました。そういや静香ミリシタでも父親の話しかしてないし、SFYのイラストでも父親の手しか映ってないし……グリマスはさすがに覚えてないけど多分母親もいます。多分)




 他にも1話のジャングルジムのシーンとか3話のお馬さんに乗ったまつり姫の登場シーンとか、ゲッサン版「ミリオンライブ!」のオマージュシーンが散見されたり、アイマスおじいちゃんとしてもニヤリとできる小ネタが多かったのも楽しかったですね。

 あまりによかったので先行上映の時、生まれて初めて映画館でパンフレット買っちゃいました(2幕、3幕の時もしっかり買ってます)。



【3回観に行った第2幕】

 第1幕の次回予告で「手づくりのぶどーかん」のフレーズが出てきた瞬間、「おおーぅ」みたいなグリマス老人みたいな感嘆が漏れてしまいました。

 そうだよなぁ、「ミリオンライブ!」は「みんなでつくった手づくりのぶどーかん」から始まったんだよなぁ、なんて。

 なんだか昔のアルバムをめくって見ている気分でした。

 とまあそんなおじいちゃんの懐古はさておき。

 第2幕(地上波で言うと5話〜8話)は計3幕で構成されていた劇場先行上映の中で一番「ミリオンライブらしさ」が出てるな〜と思ってました。

 5話の原っぱライブ(後の手づくりライブ)は言わずもがな、6話の紬&歌織さん加入と劇場の初お披露目(全体の折り返しにして「ミリシタ」へのコンテンツ移行を示唆してるんだろうな、とか思ったり)、7・8話のわちゃわちゃ感など。

 ミリオンが持っている空気感というか、アイドル達の仲の良さとか団結とか、そういうところがわかりやすく出てたなーと。

 劇中で琴葉も言っていたけど、「みんなでシアターを盛り上げる」ところとか、それをアイドル達が楽しんでいるところとか。

 そういう全員で手を取り合って、その結果見ているこちらまで楽しませてくれる。

 第2幕はそんな「ミリオンライブらしさ」が一番よく表れていたなぁ、と思いました。

 この「みんなでシアターを盛り上げる」っていうフレーズはグリマスと、最近のミリシタの「MILLION THE@TER VARIETY」シリーズの楽曲イベントとかでも大事にされてると思うので、気が向いたら触れてみるのもいいのではないでしょうか(唐突なダイマ)。

 7話なんてイカダの自作とか、明らかに無理がある最終関門のアスレチックとか、水着姿の女子中高生アイドル達にやらせるものじゃないツッコミどころが目白押しでしたし。

 そういうところにも懐かしさを感じてしまうあたり、私は自分が思っている以上にグリマスが好きだったんだなぁと、再認識したりもしました。




 あとこれ、割と本気で衝撃を受けたところなんですけど。

 第5話の原っぱライブのライブステージで未来ちゃん達が最初に披露した曲。

 「We Have A Dream」って言われた瞬間「あぁ〜! それかぁ〜!」って心の中で叫んでました。

 そうだよなぁ〜! 自己紹介みたいなライブだもんなぁ〜!

 「私たちのこと知らなくてもこれから覚えてよね」だもんなぁ〜!

 人数多いけどそれぞれがとても個性的で退屈しないもんなぁ〜!

 と、ここだけ完全にオタクの情緒になってました。

 ちなみにこの曲と対をなす楽曲「カーテンコール」は765プロオールスターズとミリオンスターズが初めて大々的に共演した大型ライブ「HOTCHPOTCH FESTIVAL!!」で両日共にアンコール前最後の全体曲として歌われています。このライブもすごいいいからBlu-ray買って見てみてね(唐突な二回目のダイマ)。

 他にも5話の麗花さんの「普通に私腹を肥やしてるおかねちゃん」というエッジの効いたセリフに笑ったり、6話の宿なしで目がぐるぐるする紬がかわいかったり、7話のサンライズ立ちで「それがやりたかったんかい」ってなったり。

 バラエティに富んでいて純粋に見てて楽しかったというのが第2幕の総括でした。

 あと先行上映のエンディングで流れた「Welcome!!」で、ようやく紬と歌織さんの口上が実装されたのは嬉しかったですね。この音源ってどこかに収録されたりするんでしょうかねぇ。



【4回観に行った第3幕】

 次回予告を見た限りだとAS組の先輩方との絡みがフィーチャーされてたから、Team6thと7thの話を少し挟んでから未来ちゃん達の話に戻ってくるのかなとか思ってたら、いきなりTeam8th(信号機&かおつむ)にスポットが当てられてちょっと意表をつかれた思い出があります。

 9話はAS組の先輩とシアター組の後輩、さらに縮めて信号機それぞれの色+かおつむと先輩方という構図が一貫していて、それまでちょっと遠かった765プロオールスターズが「ミリオンライブ!」の中に入ってきたような感じがあり、これまた「765MILLION ALLSTARS」の片鱗を見られたって感じがしました。

 第2幕まで見てきてフィナーレとなる第3幕への期待値も高まっていたものですから、先輩方を出すのであれば鉄板となる信号機三組のシーンはやってくれるだろうと思っていましたが、まさにその期待を裏切らないでくれたのは嬉しかったです。

 ちょっと思ったのは真と伊織がお互いを挑発し合ってる間に雪歩が入るあのシーン、あそこで二人の「雪歩は黙ってて!」が聞けるかもと少し期待してました(このネタもアニマス以来だからもはや古のネタになりつつありますが)。

 まあそこでちゃんと間に入れる雪歩も、それできちんと引っ込む真と伊織も成長した、ってことなのでしょうね。




 そして問題の10話。

 そりゃ次回予告でも思わせるところはあったし、もう一回くらい静かの話が来るだろうとは思っていましたけれども。

 いやだって、ソロの新曲出されるとは思わんじゃないのよさ。

 初めて聴いた時、もう鳥肌ものでしたもん。

 そして静香パパの回想で差し込まれる、幼い頃の静香との思い出のワンカット。

 いやもう、年取ったからかもわからないんですけどダメなんですよああいうの。

 ああいう、目の前の景色を見ている最中に過去の思い出が回想としてフラッシュバックされるっていう、あの演出。

 先行上映4回観に行って4回あのシーンで泣きましたもん。

 何なら何回かあのシーンを見たいがためにMOVIXさいたまに通ってた説も四割くらいありますもん。

 とまあそんな早口はさておき。

 話の内容に触れると、静香と父親の確執に関してはこれまでも色んなところで触れられている、というより最上静香というキャラクターを表出する上で重要なファクターの一つでもあるわけですが、ここまで明確に和解が描写されたのも珍しい気はしましたね。

 ほぼ触れられておらず、進展もしないままだったグリマスや、あくまで「保留」というどちらにも傾きようがある進展に留まっている「ミリシタ」と比べると、静香と父親がお互いに向き合うことができたというだけでもかなり歩み寄れたなぁ、なんて思ったり。

 まあそれでも「しばらく続けていい」と、猶予を設けたようなニュアンスの決着の仕方ではあったわけですが。ただこれはこれで仮に続きがあったとして、後にもう一悶着入れられそうではあるので見る側の想像を掻き立てる意味では絶妙だったのかもしれません。




 第1幕の2話、第2幕の6話、第3幕の10話と、各幕に1話ずつ静香にスポットが当たる話があり、「ミリアニ」を通して静香がシアターのアイドルになっていく、「最上静香のプロローグ」が描かれている感じがしたのは非常に良かったですね。

 「どこかで自分のアイドル活動は終わってしまうのではないか」と不安に思うより、純粋にアイドル活動が楽しいと思えるようになって、彼女がのびのびとシアターの仲間と一緒にステージに立ってくれることを願うばかりです(誰目線や)。




 そして「ミリアニ」の総決算とも呼ぶべき11話と12話。

 最後はライブで締めるというのはアイマスアニメの御家芸であるわけですが。

 アイマスアニメのライブシーンは毎回映像美が素晴らしく、正直脳みそ空っぽにして見てるので、大体「キレーイ」「かっこいー」「すごーい」くらいの感想しか持てないんですよね。

 逆を言うとそれだけの完成度を見る前から確信しているのですが。

 この時だけは「アニメを見ている」というより「ライブを見にきてる」感覚なのかもしれません。七色色彩発光棒振ってないけど。




 ただ11話終わりで音響コードが火花噴いてるところを見た瞬間「あっ…」ってなり、続く12話であのメンツが歌う「Sentimental Venus」が流れた瞬間確信に変わったのは記憶に新しいですね。

 そりゃ2ndのあれはアイマス史にも残るレベルのハプニングでしょうけれども、ぶっ込んでくるな〜と、逆に感心してしまいました。

 あとここで音が止まった直後、反射的に声を上げたのが千早だったのがグッときましたね。

 「ミリアニ」が「アニマス」の時系列を多少なりとも汲んでいるのだとしたら、当然「約束」の一件も経験しているわけで。

 ステージ上で歌うことを止めてしまった経験があるからこその衝動だったんだろうなぁと。

 こういうグリマス、ミリシタやその他メディアミックスだけでなく、リアルライブの要素すらしっかり拾ってくるあたり、やっぱりこの作品は「ミリオンライブ!」の自己紹介なんだなと、なんだかお腹いっぱいになっちゃいましたね。

 デビューイベントでは披露されるシーンのなかったTeam3rdと5thの曲もしっかり聴けましたし。アイマスアニメの最後を飾る、俗にいう「@曲」もきちんとご用意されましたし。

 そしてエンディングで流れる「Brand New Theater!」、並べられる歴代CDジャケと各種広告達。

 あれは「ミリアニ」の話が「765プロライブ劇場」のプロローグで、ここから先にこれまで紡がれてきた「ミリオンライブ!」の歴史が繋がっているといった、ある意味メタフィクション的なメッセージが込められているワンシーンだったと思いますが、ここは単純に知ってるCDジャケや名前がたくさん見つけられて嬉しくなってました。

 こういう現実にあるCDとか広告がアニメの中で出てくるっていう演出はこれまでのアイマスアニメでは多分なかったと思うので、これはPちゃん達にとっても嬉しいファンサービスだったんじゃないかなと。

 実際ここに喜んでるPちゃんが一人いるので。



【終わりに】

 4thライブのあのアニメPVをリアタイで見たのが約6年半前、アニメ発表されたのが2020年の夏頃(だったよね?)なのでそこからも約3年半。

 10周年という節目でお披露目されたアニメが「これが「アイドルマスターミリオンライブ!」です!」と堂々と言ってくださるようなもので本当によかったです。

 製作スタッフ、出演キャスト、関係者各位の皆々様には感謝と尊敬しかありません。

 本当に、ほんっとうに、ありがとうございました。

 とりあえず、Blu-rayは全部特装盤で予約します。


               ほぼ10年間追いかけているおじいちゃんPより


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