読売新聞にて「赤ちゃんの頭のかたち」についての連載がありました。
こんにちは。
0歳からの頭のかたちクリニック大阪院の小児科医の松下です。
先日、読売新聞の連載「医療ルネサンス」にて
「赤ちゃんの頭の形」というテーマが取り上げられました。
全5回の連載のうち、今回は第1回と第2回の記事をご紹介し、私の感想も共有したいと思います。
第1回「難病 骨の継ぎ目に異変」(2023年5月8日掲載)
第1回では、生後1か月健診で医師に検査を勧められて、画像検査などを受けた結果、「頭蓋縫合早期癒合症」が見つかったケースが紹介されています。
頭蓋縫合早期癒合症は、通常は成長に伴い徐々にくっついていく頭蓋骨の継ぎ目が、胎児期や出生直後の段階で強固に結びつくために頭蓋骨がいびつになり、脳の発達に影響を与えるおそれがあります。
発生頻度は出生1万人あたり4~10人程度で原因は不明です。
子どもの難病である「小児慢性特定疾病」に指定されています。この記事のケースのように、頭頂部の異常など病気を見つけるための特徴がいくつかあるものの、専門医でなければ、頭蓋縫合早期癒合症を正確に診断するのは難しいです。
気になることがあれば、早めに専門医に相談していただければと思います。
第2回「神経・運動の発達も確認」(2023年5月9日掲載)
第2回は、頭の形がゆがむ乳児の中に、まれに神経や運動機能の発達の遅れが原因となっているケースがあるという内容です。
頭の形がゆがんでいる場合、手足や体幹の筋肉の状態を触って確認するなど、体も丁寧に診察することで、神経や運動機能の発達の遅れ、そして脳性まひなどの病気が見つかることがあります。
しかし、異常があっても必ずしも病気が関係しているかどうか、すぐにわかるわけではありません。
このような場合には、リハビリなども取り入れながら、注意深く経過を見守っていく必要があります。頭の変形と神経や運動の発達に関連があるかどうかは研究段階であり、現時点では明らかになっていないことも多いです。
しかし、頭の形がゆがんでいるという異変から、神経や運動機能の発達の遅れ、病気が見つかる可能性があります。
検査方法について
記事で紹介されているような病気を見つけるためには、気になったときに早めに検査を受けることが大切です。
当院では、必要に応じて頭部レントゲン検査を行い、頭蓋縫合早期癒合症などの病的な頭蓋変形ではないかを確認します。
頭部の検査ですので、被ばくについて心配される方もいらっしゃるかもしれません。
私が総合病院に勤務していたときは、頭蓋縫合早期癒合症を強く疑う子には3DCTという検査をしていました。レントゲンを何十枚~何百枚と撮影して組み合わせるのがCTや3DCTという検査です。
このCT検査や3DCT検査に比べると、頭部レントゲン検査は精度が低いですが、スクリーニングには十分で、CT検査や3DCT検査よりも被ばく量は少ないです。つまり被ばく量を最小限に抑えてスクリーニングできる検査方法であるといえます。
レントゲン数枚を撮影した程度の被ばく量では、健康への影響はまずありませんので、安心して検査を受けていただければと思います。
お気軽にご相談ください
記事で紹介されているように、赤ちゃんの頭のゆがみは、まれに病気が関係していることがあります。特に頭蓋縫合早期癒合症は脳の発達に与える影響が高いといわれており、早期発見がとても重要です。
治療が必要なケースを見逃すことがないように、頭のゆがみは見た目の問題だけではないことを多くの方に知っていただきたいです。
当院は、病的変形の診察・検査、高度治療が必要な場合に専門病院へご紹介するという体制も整っていますので、まずは気軽に受診していただければ嬉しいです。
医師 松下 理恵
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