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香りの記録について vol.3


待たせたな〜ッ


今回はvol.2でちらつかせたD.S.&GURGA「GREATEST HITS VOL.1」に収められている6つの香水について書いていきますよ 

ニッチフレグランスについての日本語のレビューは少ないので、私の感想も購入を検討する際の参考の1つになったらと思う

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①「DEBASER」

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トップからベルガモットとグリーンリーフ、フィグの青い、生の果実そのものを思わせる香りがする 「えぐみ」や渋み、苦味が生っぽさ・青果っぽさだと私は感じる イチヂクは高温多湿を好む植物で、まさに湿度の高い夏の情景を想起させる、淡いミドルノート

最初少し警戒してしまったが、次第に青さが和らぎ、フィグの瑞々しい繊細な甘さとココナッツミルクの丸みを帯びた香りが出はじめる 香りの遷移がちょうどイチヂクが実り、熟れていく過程のようだ


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この後、もっと個性的な強い香りがいくつか出てくるわけだが「DEBASER」ですら好みが分かれそうというか、どれだけの香りを試してきたかに大きく左右されそうだと思った ニッチフレグランス、思った通り玄人向けのカテゴリだ


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②「RADIO BOMBAY」

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「無機質」、錆びた鉄の香りがする もしくは鉛筆を削っているときの香り Twitterで調べてみたが、どうやらこの香水は気温によって香りがだいぶ違うようだ(ニッチフレグランスのレビューは巨大検索エンジンの網にはかかりづらいので、SNSのニッチフレグランス界隈で一本釣りするのが吉)

ソムリエの方も言っていたが、ニッチフレグランスは繊細で香りが特に変わりやすいものが多い 大量生産のものに比べ、香りの安定性が低いのだ 白檀をはじめとするウッド系の香りだと紹介されているが、驚くほどの金属感 逆に自然由来のウッドの香料で人工物の匂いを作り出せるのが面白いと思った

これに関してはあたたかくなってから再度テストしたい


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③「ROSE ATLANTIC」

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トップはベルガモット ローズの香りはいるのだがこれはローズの香水ではないと思った(恐らく肌質にもよる) 「DEBASER」や「RADIO BOMBAY」の後にテストしたので急にピュアな香りのギャップに少し驚いた かわいい香りがする いわゆる女性向けなのかなと思う ローズよりもマリンノートが前にいるように感じる 透明感があって万人受けしそう これも私の肌質のせいか分からないが、どこかパウダリーに感じた


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④「COWBOY GRASS」

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野草、ハーブ、そして土の香り 青々とした緑ではなくカラッとして荒涼な印象 名前の通り西部をイメージした香りのようだ

公式では

Perfect for robbing banks on horseback.

「馬にまたがって銀行を襲うのにうってつけ」 どんなユーモアだろうか

トップはローズウッド、ワイルドタイム、ベルガモット ボディはニガヨモギ、バジル、ローズオットー ベースはベチバー、グラス、アンバーグリス

どこか懐かしい匂いがする、ヨモギだろうか あと湿布のようなスーっと薬っぽい、タイムやバジルのハーブ系の香りが印象的


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⑤「BOWMAKERS」

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「bow」ということは弓か あの弓矢の?

どうやら弓は弓でもバイオリンの弓のことらしい 深い森に閉ざされたバイオリン職人の工房をイメージしたそうだ

トップはアルコールのツンとした香りがした、バイオリンニスの香りだ そして混ざり合う木材の香り マホガニーやメイプルウッド、サイプレスなど北アメリカ原産の木材たち なんて濃厚な木の香りなんだろう 

この木材とアルコールの香りは酒樽を彷彿とさせた さながらバーボンの入った樽の香りだ

アルコール(ニス)の香りが思っていたより長く持続した ニスの香りが少し和らいだ後は木の香りが徐々に出てくる、あとスパイシーさも バーボン樽から徐々にテキーラのような香りに

ウッド系が好きでもこのアルコール臭が好みを分けそうだ にしても面白い香りなので試す価値はあると思う


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⑥「I DON'T KNOW WHAT」

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これは公式が他の香水との重ね付けを推奨している香水だ ちなみに私がPHAETONにうかがったときは品切れだった ニッチフレグランス界隈では重宝されているのかもしれない

これは…トップでベルガモットのビターで爽やかな香りは感じたが、ベルガモットが遠のいた辺りで「あれ…香り…消えた?」いやほんのり何かの香りはする…   (一応、ミドルはウッディーノート、ベースはアニマリックノートとアンバーノート)

何の香りなのか捉えられないのに惹きつけられる。単独で使うと静かで力強い透明感が第二の肌のように包み込み、他の香りと重ねるとそれぞれの魅力を奥深くも伸びやかにする。

上記のように公式もこの香水自体の香りについてあまり言及していない

いやほとんど何も言っていない

微かに香るウッドやアンバー 透明感と色気が同居する香り、というかほぼほぼ余韻 これに関しては重ねて使った際に別途記録を残そう 

多くの香水に当てはまる構成として、トップには柑橘系、ベースにムスクやアンバーを組み込むのが定番なのだが、この香水を重ねることでトップとベースにレイヤーを追加し、香りの厚みを出すいうことなんだろう 


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6つそれぞれ別ベクトルにパンチの効いた、未知の香りに出会える価値あるアトマイザーセットだったと思う 調香師が商業的に香水を作っているだけではきっとこんな香りが世に出ることもなかっただろう

ノートごとに劇的な変化がある香りは少ないのかなと思った ごくシンプル ニッチフレグランスが香りの芸術と言われる由縁が多少なりとも分かった気がする D.S.&DURGAのようにユーザーが重ね付けをして楽しむという余白をつくっている辺り、解釈の自由なアートそのものだと思った

ニッチフレグランスは特に様々な要因とわずかな誤差で香りが変わってくる ソムリエの方に尋ねてみたが、やはりムエットと自分の肌にのせたときの香りは違ってくるので、身体にまとうために香水を買うなら自分の肌にのせて試すのが良いとのこと

個人的には「DEBASER」が気になった フィグの香りの表現に興味があるので他メーカーのものもディグっていきたいな

今回はこの辺でお開きよ ニッチフレグランスの深淵をのぞいた気分だ…    

実はもう次のアトマイザーが届くのを待っているので!ほくほく 次の香水回はTOM FORDかBYREDOになると思いますよん 次回の投稿も首を長くして待たれよ!

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