映画「ひらいて」初回鑑賞の感想

感情がぐちゃぐちゃになった。
落胆して、虚しくなって、やるせなくて、
上映後に映画館の明かりがつくことにさえ苛立ちを覚えるくらい、神経が逆撫でされる映画だった。

前半は、愛が手紙を盗み読みするくだりなんかは理解できなくは無いなと思ってしまった。例えば好きな人のSNSを覗くとか、プライベートな話を聞き出すとか、そんな行動が行き過ぎてしまっただけというか…
美雪も凄く良い子なのに何故か友達がいなくて、だからこそ愛と仲良くなれたことを純粋に喜んでいて…簡単にたとえくんと付き合っていることを打ち明けていることからも、美雪が心を「ひらく」スピードは速い方なのかななんて思った。

だけど、愛に身体を求められて拒絶をせず受け入れている辺りからあれ?って。恋人がいるのに他人と身体の関係を持つことに抵抗が無さそう。同性だからといって、これはれっきとした浮気なのに、たとえへの裏切り行為なのに。
好きな人と付き合ってるからという理由でまずは彼女側に近づいた愛も、たとえに性欲を満たして貰えないからって都合よく愛に満たしてもらっている美雪も、本当に自分のことしか考えてなくて寒気がした。優しさが1ミリもない。

そして、美雪と身体の関係を持ったと愛に告白された時のたとえ。あまりにもダメージを受けていなさすぎる。好きな人の(おそらく)初めてを奪われたのに?もっとショックを受けないのか?
これは私の考察になってしまうけれど、たとえはアセクシャルまたはノンセクシャルなのではないか?と思った。
性欲はない、そういうことに興味はない。だから、求めてこない美雪が都合良い。
手紙を定期的にくれて、尽くしてくれて(カイロとお守りのシーンや、東京について行くと決めている点などから)、でも性的なことは求めてこない。
アセクシャル(ノンセクシャル)だけど彼女という存在、自分のものである誰かは欲しいから美雪が都合良い。…たとえ、本当に美雪のこと愛してるの?


たとえも自分のことしか考えていない。

というか、人間って基本的に自分のことしか考えてないのかもしれない。


ラストの折り鶴の木のシーンでたとえが愛に向けた目線は決して冷たくなかった。
あの夜、世界一冷酷なんじゃないかと思えるキスを愛にしたとは思えない人間の目。
意味がわからない。
個人的には、憎らしい父親を殴ってくれた愛を見て心を「ひらいた」と思ったんだけど、それにしても酷すぎる。雨宿りで入ったホテルでも愛を1人にして2人でくっついてたし、ずっと愛のこと突き放してるくせにあんな目で見つめてくるのは残酷。人の気持ち分からないのかな。でも愛はそれでも嬉しいのかなぁ、どうなんだろうか。

ラストの愛の言葉も、相当落胆した。あの手紙を読んで出た言葉がそれ?みたいな。

愛は一学期は成績も良く、推薦は問題ないと言われてた点からも馬鹿ではないだろうし、実際たとえに近づくためにまずは美雪に近づいていく行動も計画的でずる賢い感じだったのに、好きな人、好きという感情が溢れてしまうあまり馬鹿になっちゃったのかなって思ったりした。


でも、愛なりの美雪への思いの伝え方が身体を重ねることで、美雪なりの愛への思いの伝え方が手紙を書くことだとしたら?そう思うと納得できたりするかな…笑

若いからこそ、未成年だからこそできること、できないことって多々あると思うけど、いずれ3人とも自分がしてしまったことを反省する日が来るといいなと思った。
とにかく3人の誰にも感情移入できず共感できず…しんどい2時間でした。


でも、こんなに作品にのめり込んだということは3人の演技や脚本が良質だったからこそだと思う。映画を見てこんな最悪な気持ちになったのは初めてです!これは褒め言葉です!!!


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