耐量子計算機暗号・秘密計算のePrintウォッチング(2023年5月第1週)

@0917laplace です.
普段は QiitaZenn で耐量子計算機暗号や秘密計算の記事を書いています.

新しく始めるこの企画ですが,暗号理論の中でも特に進展が早い(と思われる)耐量子計算機暗号と秘密計算の分野に絞って,週次単位でiacrに投稿されたePrintを整理します
https://eprint.iacr.org/

今回は2023年5月第1週(4/30-5/6)に投稿された(厳密にはapprovedされた)耐量子計算機暗号・秘密計算のePrint(2023/610-2023/633)を対象に整理します
まとめ方の雰囲気としては,過去の記事(2023年1月・2月版)を参照してください
*2023年3月・4月分はどこかでやるかもしれないし,やらないかもしれないです・・・


耐量子計算機暗号

分野の分類としては

  • 格子

  • 符号

  • 多変数

  • 同種

  • ハッシュ

  • 全般

  • その他

とします
*格子暗号を用いた準同型暗号方式は,こちらではなく次の秘密計算の章で集計します

↓読み込むまでに時間かかるかも?ですので,URL埋め込みもしておきます
PQCのまとめ表

なんといっても注目すべきは,number 619でしょう.
PQCの1つである多変数多項式暗号の安全性の根拠となっているMQ問題に関連する enumeration problem の求解アルゴリズムに関する内容です.
従来アルゴリズムでは二元体上でのものだったのを素数位数の有限体上のアルゴリズムに拡張したり,ナイーブな手法から計算量を削減したり,といった議論が含まれています(と思います,違っていたら消します()).
微分作用素がガンガン出てくるので,Gröbner基底と相性良かったりするのかな,なんて思ったりするのですが,勉強中の身ゆえ下手なことは書けません・・・

なお,number 627 については,符号ベース暗号というよりMPCを見据えているので,本当は次で集計するのが正しいのかもしれない,と最後に気づきました()

秘密計算

分野の分類としては

  • 準同型

  • MPC

  • GC(Garbled Circuit)

  • TEE

  • カード

  • ハードウェア

  • 全般

  • その他

とします

↓同じくURL埋め込みをしておきます
秘密計算のまとめ表

ハードウェアの表示ダサすぎますね・・・(だったら直せ)

こちらで注目すべきは number 631 です.
従来の Functional Bootstrap(Programmable Bootstrap)の Tree-based と mutli-output を組合せた手法を提案した・・・のかな?(非常に自信がない)
既存手法の組合せで効率性を上げるのは割とあるあるなのですが,個人的には multi-value bootstrap がそもそも怪しいので,そこから勉強してこれを読みたいですね・・・(辿り着くまでに半年かかりそう)


今回は以上となります.見るべきePrintが20本と少ない?ので,なるべく続けられるようにしたいですね・・・

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