【弟子】テレ玉と埼玉県民論。

 「風が語り掛けます。美味い、美味すぎる。埼玉銘菓、十万石饅頭」

 このフレーズを知らない埼玉県民はいない。ニセ埼玉県民を見分けるときはこの話題を振ると良いだろう。テレ玉(テレビ埼玉)でいつ何の番組を見ても必ず放送されているCMで僕が幼稚園のころにはすでに「古めのCM」だった。

 基本的にテレ玉って15年近くなにも変わらない。県内の情報番組、古いアニメ、社交ダンス、ライオンズの試合。土日は浦和レッズか大宮アルディージャの中継。時間が止まったような錯覚に陥るという表現があるが、テレ玉は実際止まっている。15年近くおなじCMを十万石饅頭以外にも多く放送している。最近(といても5年くらい前)にテレ玉くんという自社CMのキャラクターが作られたが、目新しい話題はそのくらい。

 ではこれがいけないかと言えばそうではない。これこそが埼玉県民のリズムである。「ださいたま」と言われて埼玉県民は何をおもうかといえば「特に何も」が本音だろう。テレ玉は都会から少しだけ離れて、だらだらとはせずとも、ほどほどに力を抜く埼玉県民のリズムにこれ以上なくフィットした地方テレビ局なのだ。テレ玉を見れば埼玉県民のことがすぐわかるだろう。


       

 ちなみに十万石饅頭をちゃんと食べた埼玉県民も少ない。僕も一回だけである。 

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