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ジョンが出会った読者たち【第29話】

突撃となりの群馬県! イナカ川柳(TVBros.の投稿コーナー)の重鎮キャシーさんちに行ってきました! 

先日、熱が8度越え9度を越え~(忍者はっとりくんな感じで)本気で危ない橋を渡りかけました群馬県前橋市のキャシーです。育成会の会議も里帰りも仕事もすべて取り止めのなか、発熱発覚当初にメールで教えたのに、一人のママ友だけは何の警戒もなくやってきました。嵐のような愚痴を話したのち彼女が去っていき、私はついに倒れ「本気でヤバイかも」と自分で感じました。運ばれる時、夫と子供につぶやいた台詞は「私が死んだら今までの載ってない川柳を載せてくれるかなぁ」でした。復活して4日目の今、実家から駆けつけた家族の笑い者です。でもマジで苦しかったよイナカ川柳!(キャシーより)

前号のイナカ川柳に掲載されたこの投稿を読んで、これは大変! 同じページ同士励ましにいかなくては!と思い、今回は急遽キャシーさんのお宅へお見舞いに行ってきました。数々の名川柳を送り続けているキャシーさん。彼女の病状は? そしてご自宅は? ご家族は? 環境は? 一体どんな人物なのか? 突撃します(東京から見て)隣の隣の群馬県!

はい、こちらオホーツクからズ——ムイン! ではなく、群馬県は前橋市の外れの外れの外れの外れです。見てくださいこの一面の銀世界! 駅はあっても駅前がありません。イオンなんてもってのほか! ただいまの気温はマイナス2℃。そして、12345…驚くことに豚舎の数が民家を圧倒しているもようです!

そんな中、ひときわ浮いたお宅を発見! 見るからに、ここだけ完全に北欧の占領地です。中からどんな白人が出てくるのでしょうか? 呼び鈴を鳴らしてみましょう!

「はい、どうぞ!」

野太い声が中から聞こえてきました。どうも日本人のお宅のようです。開いたドアの向こうには、顔立ちが妙にハッキリした眼光鋭い女性と、小さな女の子、爽やかイケメン若者、そして顔立ちが妙にハッキリした眼光鋭い女性の3人が立っています。なんとこの女性こそが、かのイナカ川柳の重鎮・キャシーさんなのです!
それにしても、やたら外国みたいなお宅です! およそここが群馬、いや、それ以前にブロス読者のお宅だとは思えない! 普通の家なら無味乾燥な三角コーナーをつい置いてしまうようなところまで、全てがかわいらしい小物でまとめあげられていて萌え死にそうです。川柳からどことなく文化水準の高そうなお方だなとは思ってましたが…。
この家はすごい!!! 群馬の奥地とは思えません。

あれ? この写真立て、白人男性の写真が飾られてる。これは一体誰???

「あ、これ私の父です」

えー!! 半分白人だったんですか! しかもキャシーさんベトナム生まれ!? その後、神奈川、東京、兵庫、北海道、福岡、アメリカ、青森、山梨、埼玉…と転々とされて群馬に至ったのだそうです。ちなみに、こちらのイケメンは…?

「12歳下の主人です」

理系なスマートさとマイペースさもあって、まるで少女漫画に出てきそう(寝癖のついたキャラ)な旦那さんです! もうご結婚されて10年、旦那さんの地元が群馬なので、今こちらに住んでいるというわけです。

「私、バツ4なんですよ」

え——!!! 道理であちこちを転々と…。暴走機関車のような人生ですね。そういえば、明らかにキャシーさんのものと思われる少女漫画が数百冊ほどありますが、ごくごく片隅に旦那さんの蔵書と思しきコンピュータプログラム系の本が数冊…夫婦間の力学を表しているように思えます。

さらにあきらかになるキャシーさんの秘密!!!

で、こちらはキャシーさんの愛娘・小学2年のビアンカちゃん。「今日泊まってく〜?」ととても人懐っこく、めっちゃかわいいです。さらに前の夫との間に、現在大学生の娘さんもいるんだそうです。
と、ここで

「さあ、焼肉始めますか!」

いきなりですか! 着いてまだ5分しか経ってないですよ。しかも今3時ですよ。めっちゃ微妙な時間じゃないですか。

「東京の人達には牛を食べさせないと!」

いわく「東京の人に豚は失礼」なんだそうです。

次から次へと高級霜降り牛(地元名産、赤城牛)が運び込まれてきます。いっただきまーす! 舌の上でそれこそ雪のようにほぐれて喉に落ちていく…し、幸せ! というかキャシーさん、お仕事って確か、外人妻たちとパートやってるんですよね?

「あと、ここで占い師やってます!」

え——!!! 一体キャシーさんって何者なんだ!? ますます謎だ〜!! そして、ついに“あの人”がキャシーさんに降りてきました!

「ひゃっほ〜〜い!!」

キャシーさんの川柳ですっかりおなじみ、40代赤ん坊似男性・川邊さんが女性に告白されて大喜びして走ってきたときの様子です。その後、近所の外人妻、すまし顔のパン屋、職場のヤリマン女、影の薄いチュニック主婦、ドヤ顔のトラクターおやじなどなど、次から次へと川柳を彩る人々の話(実話)を披露してくれるのですが、本当にその人達がそこにいるかのよう。まるで劇場、もしくは憑依!

この人の観察眼、天才そのものです!

川柳以上に、それを作っているキャシーさんご本人の方が面白い!! この才能をイナカ川柳だけにとどめておくのは正直惜しい!!! その上、さすがいろんなところを転々とされただけあって、歴史や地理にも造形が深い! どんな話題を振っても必ず倍以上にされて返ってきます。一体キャシーさんの地元ってどこになるんですか?
「一応、兵庫です。あ、でも、母も外国人なんです」

え——!!! キャシーさん日本人じゃなかったの——!!?

今回はガチで書ききれません!
話の続きは090-6143-2407へ!

スペースの都合上書ききれなかったキャシーさんのエピソードをお話します(平日は21時以降におかけください。土日はいつでもOK。メールはhirotakufr@aol.comまで)。あ、キャシーさんの病状は大丈夫そうでしたよ。それにしても日本人以上に日本人だけど外国人なキャシーさん。だからこそ日本の田舎を客観的に観察できるんでしょうね。結局、帰りは大雪のせいで電車が足止めされまくって、キャシーさんちから東京まで9時間もかかりました。もはやホントに海外です。翌朝の上野駅で目に飛び込んできたJR SKI SKIのポスターのコピー

ぜんぶ雪のせいだ。」が恨めしかったです。

(「TVBros.」2013年2月26日発売号掲載)








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