【みやまる】たけし映画、ばんざい!2回目だコノヤロー

ー『アウトレイジ』2作とファンタジーー

 例えば『あまちゃん』が流行った時の「じぇじぇじぇなんて本物の岩手の人は言わない」とか『半沢直樹』の時にも「あんな銀行員本当に居ない」というような話はいつでも上がる。なんとなくこういう話にいつもモヤ~っとしたものを覚えるのは「だから今流行ってるアレは大したこと無いんですワ」というネガティブな場合が多いから。フィクションなんだから実際がどうこうだなんて関係ないのに。極論を言えばハリポタのようなファンタジーを楽しんでる子供に「でも人間は魔法使えないから。こんなの嘘っぱちだから」というようなもんである。

 『アウトレイジ』2作の成功はこれを逆手に取ったのかなとみやまるは思った。実際のヤクザは多分こんなにいつも「ぶち殺すぞ、コノヤロウ!」とか喚いたり、歯医者で組長をチャカ突きつけたりはしないだろう。全編にわたって「いかにもヤクザ」な事ばかりをする。この「いかにもヤクザ」なことを徹底的に、言い換えれば「ヤクザごっこ」を大真面目に映画にしたのだ。しかも監督は長年ブラックユーモアを芸風としてきた「バカヤロウコノヤロウ」のプロ。罵声怒号の使い方を知り尽くした人物じゃないと撮れない映画だ。

 おそらく実際の「そのスジの人」が見れば苦笑いだろう。いつもいつもこんなに大袈裟なことやってないよって。でも喜んで見てくれるようにも思う。剣と魔法の代わりにチャカと罵声が出てくる「ヤクザファンタジー」。たけし監督がバイオレンスな異次元世界に観客を引き込む映画である。


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