【みやまる】電車映画のようなもの その28 -TOKYO FIST 東京フィスト-

金曜日に東京ドームの観戦レポートを書いたので月曜日だけど変則的に「電車映画」。東京ドームというより、後楽園ホールという感じの映画である。

『ロッキー』シリーズはもちろん、『キッズリターン』『ミリオンダラー・ベイビー』『百円の恋』。ボクシング映画はどれも思い入れが強い「好きなジャンル」である。この『東京フィスト』の存在は最近知ったが「えっ?!塚本晋也監督にもボクシング映画あるの?!絶対面白いはず、見なきゃ」と思った。

塚本監督本人が演じる義春は通勤ラッシュに揉まれる、外回りのサラリーマン。ところがボクサーになった高校の後輩に恋人を奪われたと誤解し、一発ブン殴られる。しかしその一撃で義晴のなかの何かが変わる。そして彼もジムに通い出す。大雑把にあらすじをまとめればこれで良いのだが、塚本映画ワールドはそんな生易しいモノではない。2人のボクサーに挟まれた恋人のひづるの全身へのピアッシングやタトゥーを入れるのに象徴される「痛み」の映画である。しかも北野武『座頭市』と同じく「あっ、バイオレンスだ」と思うほどの暇もない圧倒的なスピードで進行するので爽快さ、さらにはその「速攻」のぶん見てるこっちにも痛みを全身で感じることが出来る映画だ。映画のスピードの速さが絶妙にボクシングというスポーツに集約されていく。

塚本監督の映画をオススメしたい人がいる。「工場萌え」の人だ。硬くて緻密な機械の集まりだが、スチームを吐き出しがっちゃんがちゃんとどこか生命力がある。塚本監督の代表作『鉄男』にも表れているが金属的で冷たいけれど血が通っており、あそこまで滅茶滅茶に暴れるのにかすかに温かみが残る。

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