【みやまる】たけし映画、ばんざい!6回目だコノヤロー!

ー『菊次郎の夏』と子供ー

 たけし監督を「ガキ大将」に例える人がいる。世界最高峰の賞を獲る映画監督の立場にありながら、バラエティでコスプレしたり、ピコピコハンマーを持って大はしゃぎしている様子が子供、いたずら小僧という感じなのだろう。軍団という子分を連れてはいるけど決して威張ったり、おごらない「やんちゃ」な殿の姿がみんな大好きだ。

 『菊次郎の夏』はそうしたたけし監督の「若い」を通り越した「子供」の感覚がひしひしと伝わる映画である。正夫という少年がたけし演じる菊次郎という中年男と母親を探す旅に出る、とあらすじは単純だが、この映画が非凡な点はちっとも「子供向け」じゃない所。菊次郎は競輪に行くは、オネエチャンの店に連れて行くは、視覚障害の振りして小銭をもらおうとするなど、子供の前だから手本になる行動をしよう、みたいな発想が少しもないのだ。「大人だって子供みたいに遊びたいんだ、よバカヤロウコノヤロウ」と言いたげなくらい。そして正夫少年もそうした「大人のダメさ」をわかった上で楽しく珍道中を続ける。

 この作品を初めて見たとき人生の節目節目で改めて見返したいなと思った。社会人になったとか結婚とか子供が出来たとかそういう節目。そんなに順調にいくかはさておき、久石譲の「summer」が流れる珠玉のラストシーンは、次に見るときはどんな風にこの場面を受け止めるかなと自分の将来に思いを巡らせる、そんな映画です。もうすぐあの曲が聴きたくなる季節!



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