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【2番弟子】今日の小話 #12「空腹のおすそ分け」

腹が減った。時計を見る。22時を指している。腹が減ったし、遅い夕食を作ろう。最近の定番メニュー、納豆かけご飯である。食べようとした時、思わぬ来訪者があった。来るのは別に珍しい事でも無いのだが、何でまたこんな時間に……。

「あの、これ、良かったらどうぞ!」

その女性は、一切れのパンを僕に手渡し、恥ずかしげにそそくさと帰っていった。頂いたパンを手に、僕はしばらく立ち尽くしていたが、早速、渡りに舟とばかりに、そのパンにかぶりついた。同じアパートに住んでいる彼女がおすそ分けをしてくれるのは別に珍しい事では無い。だけど、何もわざわざこんな夜遅くに……。まさか、抱かれに来たのか? そんなはずはない。いや、もしかすると……。

その晩、俺は興奮して眠れなかった。

のちに知ったのだが、その一人暮らしの彼女は、決して裕福な訳ではなかった。むしろ、俺とさして変わらぬ経済状況で、その苦しい中から、おすそ分けをしてくれていたのだ。

今晩、俺は彼女を訪ねて行こう。口に合うか分からないが、ほんの少しばかりの下手くそな炒り卵を携えて。






ん? 下心があったって?

ないですないです! 気持ち悪いとか言わないで~。



ね。

なーんてっ。

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