【みやまる】たけし映画、ばんざい!7回目だコノヤロー!

『座頭市』とスピード

 テレビでも映画でも画面にたけしが出ていると良くも悪くも目立つ。あれだけ多方面で活躍している人物が目立たないほうがおかしい。『座頭市』の主人公・市は盲目の天才剣士。天才の持つ周りを寄せ付けない雰囲気を表現できるのは、たけしだけだろう。誰も追いつけないという意味でも両者はよく似ている。

 あらすじは芸者姉妹の仇討を引き受けるという昔のジャッキー・チェンの映画のような大変シンプルなもの。ただこの作品がエンタメ超大作として成功したのはそのシンプルさだろう。市は容赦なく刀を振り回し敵を斬る。それももはや感情を持たないロボットのように、相手の手首が飛ぼうがなんだろうがひたすらに斬っていく。「暴力」というよりもはやミュージカル映画の挿入歌やダンス(この作品のラストのタップは必見)のような、軽快なリズムに乗っていく。この圧倒的なスピードの前では複雑な人間関係やストーリーが入り込む余地は無いのかもしれない。

 ギャグにも、暴力にも、エンターテイメントにも、たけしが持つ「反射神経」が生かされた『座頭市』。アッと言う間もなく、フルスロットルのままラストまで突き抜ける。


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