【みやまる】通ぶれる野球バナシ! 94球目

92年の阪神は今でも「伝説のシーズン」として語り継がれている。優勝こそしていない(2位)が球団とのファンの熱狂度が抜きん出ている阪神、「あと一歩」の年もファンの心に強く刻まれているのだ。

★亀新と八木
2年連続最下位で迎えたシーズンだったが開幕すると投打ともに好調。亀山努と新庄剛志という2人の若い外野手が台頭し「亀新フィーバー」と呼ばれた。主砲は『六甲おろし』のカバーで今でも人気の高いトーマス・オマリー。6月には技巧派エースの湯舟敏郎がノーヒットノーランを達成している。
9月11日のヤクルト戦は八木博が打った本塁打をめぐり(1度入ったと判定された本塁打が無効になった)40分近い抗議を含め6時間以上に及ぶ死闘も繰り広げられた。

★意外な小説との接点
2ゲーム差で優勝はヤクルトに奪われたが猛虎ファンを熱くさせるには充分すぎるシーズンだったのだ。この年の阪神の快進撃は本屋大賞も受賞した『博士の愛した数式』という小川洋子の小説にも細かく書かれている。
記憶障害を持つ老数学者と家政婦である「私」とその息子の交流を描いた作品で舞台が92年。老数学者の記憶の断片に野球の記憶があり(江夏豊のファンだった)、時折江夏が所属していた当時と現在の阪神のエピソードが挿入され、実際に阪神の試合を3人で出かけるシーンもある。


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