【みやまる】電車映画のようなもの その16-二郎は鮨の夢を見る-

 「その男、凶暴につき」はたけし演ずる我妻刑事が駅の側を歩くシーンが。アナウンスも聞こえる。「やった、これも書けるじゃん!」と大喜びだったが、突然たけしは踵を返し走り出して次のカットへ。あとちょっとで電車映画なのにぃ~と悔しい思いをした。

 「二郎は鮨の夢を見る」も地下鉄の駅のシーンが、でもまたもや乗らない。あ~ぁこれも書けないのかなあと思っていたらそのあとちゃんと乗るシーンが。鮨職人の映画なのに見るところ違いすぎんだろ。そう、この映画は「すきやばし次郎」の大将・小野二郎のドキュメンタリーである。江戸の寿司職人だが「てやんでい」みたいな人物ではない。物静かというわけでもなく常連客に笑顔で話す1コマもあるが、かえってその姿が近寄り難い。そんな男である。緩やかな音楽と二郎の姿が美しく重なり「鮨の夢」というタイトルがより一層引き締まる映画だ。

 とかなんとか難しいこと書いたけどこの映画の一番の主役は寿司そのものである。後半には二郎がどんどんネタを握る。それまでに二郎の寿司への情熱を描写したあとなので効果は絶大だ。俺はこの映画を名古屋で食べ歩き旅の途中で見たが、さんざんきしめんや台湾そばを食った後なのにお腹は「グググ」。

 いつかは「すきやばし次郎」で食べたいという、みやまるも鮨の夢を見た。


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