【みやまる】電車映画のようなもの その20-キートンの探偵学入門-

 ある知人曰くTHE BLUE HEARTSの「終わらない歌」や斉藤和義の「歌うたいのバラッド」のように「歌を歌う歌」は鉄板、すべらないんだそうだ。それでいくと「キートンの探偵学入門」も「映画を観る映画」だ。

 無言、無表情。映写技師のキートンはあいかわらずの調子なので婚約者も金持ちに取られそう。しかものんきに「探偵学入門」なんて本読んでるし。そんな風にダラダラしてたらいつの間にか映画の世界に入っちゃって・・・という「カイロの紫のバラ」のもとになったこの筋立てはシンプルだけど大好きである。

 「恋愛三代記」では原始人の役もやったキートンであるがこの映画はかなり原始的だ。列車の屋上から落ちて、後ろから来た列車に挟まれる。車で湖に突っ込むといったプリミチブなお笑いが続く。カッコつけて「くだらないなあ」とか言いたいところだが、全身をフルに動かしながらも顔は眉毛ひとつ動かさないキートンの演技に見てるこっちは夢中!回りくどさよりも単純さこそ映画の醍醐味であると気持ちよく実感できる。最後の試写室で、映画を観つつスクリーンそのまんまプロポーズするシーンはちょっとクサいけど、「やっぱ映画が好きでよかった」という感想になるはず!


 そういえばこの映画でびっくりしたのは「バナナの皮で足を滑らせる」というシーンがもう既にあること。アレっていったいいつからあるの?というかアメリカにもあったのね。


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