【みやまる】のほ本 !13冊-ジャイアンツは負けない-

今日は一門全員が更新してる!珍しい!

さてさて一昨日「東京ドームというより後楽園ホール」と書いたが、今日は「後楽園ホールというより紀伊国屋ホール。さらに紀伊国屋ホールというより後楽園球場」というつかこうへいの小説である。

何度かこの弟子日記でもつか作品に触れたが『熱海殺人事件』や『蒲田行進曲』とはまた毛色の違う凄さを持った作品だ。主人公は著者をモデルにしたであろう劇作家、つかこうへい。彼の最新作の客席に王貞治や堀内恒夫といったV9を達成した巨人の選手がズラリ。終演後に引退した長嶋茂雄が監督になるまでの間、巨人の監督になって欲しいと頼まれる。

野球ファンは、必ず一度は贔屓球団の監督に「ワシに変われ」と思うことがある。そんな他愛ない妄想を小説にしてしまったのだ。しかも連戦連勝。こんなナンセンス野球小説に説得力を持たせるのはつか田監督の提唱する「セクシーベースボール」という”演出”だ。三振してもヘラヘラせず、簡単なゴロも全力で取る「色気」を出せと吠える。ファンは意外とそうしたプレイの外にあることに敏感だ。それを戦術とするチームがあったら……、思わず「一理あるような」気がしてしまうのだ。

『つかへい犯科帳』というエッセイでもつか流の「巨人愛」を垣間見ることが出来るので本作と一緒に読むことをお勧めしたい。挿絵は山藤章二のものだが、阪神ファンの山藤とイラストと文章で「場外乱闘」をしているのも読んでて楽しい。

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