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【2番弟子】今日の小話 #15「98キロの女」(閲覧注意)

あれはもう、8年も前になるか。39歳の頃。
98キロの女を抱いた。体重の事だ。それが、俺の初体験を誰にするかの結論だった。別に妙な趣味がある訳では無い。彼女を求めていた時に出会った女が、その女性だったというだけ。

寝た。

ただ、重かった。

何せ相手は0.1トンの女。俺は、ただしがみつくしか打つ手は無かった。おまけに取り付けていたはずのゴムが、中でひっくり返って外れてしまった。もういい。子供が出来てもいい。なかば捨て鉢でそのムードに酔っていた俺は、訳の分からない戯言を考え巡らせていた。

幸いだった。それから3ヶ月経って、彼女の膨らんだ腹を見る度にドキッとしたが、それはそうだ、最初から膨らんでいるのだから。

今でも、時々連絡は取り合っている。たわいもない話がほとんどだが、ふとした瞬間、あの時の事がよぎる。恐怖としてではない。ほんの一時の事だったが、それは素敵な青春のモノローグ。今にして思えば失策もいい所だったが、なぜか忘れる事は出来ないのだ。

98キロの女。あの後どうしたって?別れたよ。

振られたのは、俺だ。


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