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Aさんへ ③

Aさんへ

Aさんこんにちは

麗らかな日曜日いかがお過ごしでしたでしょうか

麗らかな……と言えば先日、私はスーパーにて『ララカ』なるチョコレートを発見しました

『そとはカリッ!なかはホロッ!あとあじエアリー!!』

との売り口上と、カカオ85、のパーセンテージに口内は大人なビター感が充満しまして……気づけば2ララカ、カゴに忍ばせておりました
正々堂々2ララカお買い上げ……ではなく、なぜ、抜き足差し足忍び足にて2ララカを。というのには理由があります

直前、娘2人から
『きょう、あさおきておきがえのまえにしゅくだいやったー。おさらもふいたー。』

『あー、そういえば昨日国語のテスト返ってきたわー。100点だったけど。前の夜宿題のあとに予習したからね。』

との鋭利な前フリののち、(おきがえのまえにしゅくだいをやるというシンプルに順番を間違えている点と、100点だったけど。の末尾の
『けど』
には
『まあ当然です『けど』何故なら私ですから』
感が含有している点には引っかかりを禁じ得ませんでした。)

つまり『私たちえらいでしょ。いい子でしょ。』の意である前フリののち、急所とらえたり!の表情を浮かべた策士2人からここぞとばかりに阿吽によりをかけ、見事な二重奏にてのハーモニー

『お菓子かって。』

二日酔いの羊のような声音で、ほぼ三重奏となる機敏さで
『買いません。』
が狂奏曲となりました

買いません。その頑固一徹を通せれば良いのです。一貫した理念からの決意。ものごとの筋を通す。しかし、

揺れっぱなしのブレっぱなし。常に。自分は常に揺れているのです。

まるで過敏で多感な思春期かのように、または、好きでも嫌いでもないかたから告白され付き合い始め三ヶ月ほど経過した頃「ときめきはないけど居心地がいいし、この人といるときの自分が一番好き。」とお花畑で花を摘んでいるときに現れる本命の男。そして『前からずっと好きだった。』
前述の「この人といるときの自分が一番好き。」が、揺れます。
一番!一番!としこたま飲んだ後、今宵をしめるべくラーメン屋を赤ら顔で連呼するがごとく、一番と言っておきながら。一番の希少さ二番の如し。

いつものことながら無駄な例え話が長くなり、お目汚し申し訳ありません

ゆれるおもいからたじゅう感じて、スーパーの菓子棚のまえ、眼下二人の娘を見つめます

「1個だけよ……」

ヤッタ!と弾ける二人に「次は買わないわよ!」「明日はもう連れてこないよ!」などと、誰ひとり興味のない未来への約束を結びフライング甚だしく念を押すのです

そう。誰あろう自分を戒めている。

揺れっぱなしのブレっぱなし。四六時中常に揺れている状態が平常運転であるため、もはや静止状態とはいかなる状態か。それさえも、もう思い出せないのです

Aさんもご存知の通りこれといった育児指針も理念もなく、矛盾上等!とテンパり気味の私が搭載した子育てナビゲーションはバグり倒し、道なき道をひた走る日々です

気づけば自分はどこへ向かっているのか……

『路線を変更します。』ナビゲーションの音声が絶え間なく鳴り響き、明後日へ向かうぐらいならまだしも一体……「いっそのこと変更に次ぐ変更の末、本道に戻れんじゃね?」などという他力本願ともとれるような、圧倒的なんとかなるさ感が、発言の全ての末尾に「知らんけど。」をつけて片づけようとする圧倒的無責任感が芳しく香ります

轍のない真新しい道。それは、豊かな土壌に透明な水を蓄えサンサンと日の当たる広野といえば広野、荒野といえば荒野であるそこに敷かれる、真っさらな新しい道。これから、人生という一度きりの往路を、道を歩み切り開かんとする娘2人の手を左右に握り、そのひたすらに輝く美しい瞳を見下ろし、私は、これまでの人生経験という、豊かな土壌に勝るとも劣らぬ経験を、経験から得た奥深い英知を、なによりの肥料となる知識を、いずれ恩恵と呼ばれるであろうメロウな知恵を。人生経験が書き綴られたオンリーワンな教科書を、いま、開くときがきた。と……

輝きが目映い、いっそ目をそらしたくなるほどに美しく輝く「真だけを見る」と訴えるその4つの輝きに負けず劣らず輝く、人生経験なる教科書の重厚な1ページ目を

人生の教科書

その教科書のフックとなる1ページ目を開きました


『ノリ。』

これじゃない。

圧倒的これじゃない感を察し、また、やべまちがえたまちがえた……と潔く、震える人差し指に真新しいツバをつけすぐさま2ページ目へと荒野の歩みを進めました

『ノリと直感。』

二度目。

ノリて二度いってる。ノリを最重要項目として念押ししてる。そして、申し訳程度の補足がまさかの直感。危うさ。世の中の、やっつけ仕事と呼ばれるその業務内容にさえも失礼なほどのやっつけ感。ノリと直感。社会の節々にあらわれる断崖絶壁で1番に足場崩れて落ちてく人のパターンじゃね?

頭を左右にふり、そして、静止。静かに目を閉じ、ちがうちがうちがうそうじゃ、そうじゃないと大きく、己の肺が『キャパ限界』と悲鳴をあげるほどに大きく息を吸い、そして、いつもギリギリでいたいからと二酸化炭素をギリギリまで吐き出し、冷静を取り戻すと共に鼓舞激励を込め3ページ目へとさらに歩みを進めたのです。2度あることは3度ある。そのような悪魔のささやきを3度目の正直。と、私の中の全天使がにっこりと微笑み耳元に息を吹きかけます

『ノリと直感。落ちたら落ちたで。落ちた先でまあまあなんとかなる。』

けっこう早い段階であきらめてる。まあまあで良しとする志の低さ。震えが止まぬ指で4ページ目

『こうやって生きてきたんです。それがなにか。』

開き直ってそしてキレてる。誰も何も責めてないのにひとりで勝手にキレてる。一人相撲極めたり

Aさん、誠に勝手ながら夜ごはんの時間となったため、こちらで一旦区切りとさせていただき、またメールさせていただきます

乱文にてのお目汚し大変申し訳ありません

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