『花束みたいな恋をした』
私は自分の本棚を人に見られるのが苦手
子供の頃はお友達が遊びに来る度に、大事な本を隠したりした
本棚はその人を写す鏡だから
麦くんのような人に出会えていたら、本棚をそのまま見せていただろうな
若い頃の私は、思えばいつでも麦くんを探してた
白馬に乗っていなくていい
絹ちゃんと麦くんが出会ったM駅で、K王線に乗って現れてもいいわ
何なら、40年前はよくM駅前に出没していた、ちんどん屋さんの最後尾のチラシを配る人でもいい(おじいさんだったけど😅)
観る映画が同じ
読む本が同じ
スニーカーが同じ
ひとつひとつの驚きと喜びがきれいな花になる
映画の半券を栞にする
行きつけの映画館が同じ名画座
ひとつのイヤホンで同じ曲を聴く
花はひとつ、またひとつと増えて、束になっちゃうから、もう恋に落ちるしかない
でも、花はいつかは枯れてしまう
花束は小さくなる
それが現実、生活とはそう言うもの
それでも2人で生きて行く
麦くんはそう思った
そう思えるのは大人になってしまったから
でも絹ちゃんは違った
花束が美しいままでいられないのなら、2人で生きていくことは出来ない
麦くん(実際にはいなかったけど)以外の人には本棚を見せられなかった昔の私もきっと同じ決断をする
でも大人になった私は、例え好みが違っても、私の本棚に興味を持ってくれる人がいたら、いいお友達になれるって知ってる
花束が大きくて美し過ぎたから別れが来てしまったんだね
この奇跡みたいな恋が、恋ではなくて友達で続いて行けたなら一生ものの付き合いだったのに
花束を造り合える人に出会うことは、きっともう無い
2人ともそれは知ってた
でも私、もしかしたら今でも麦くんを探しているのかも
2021年2月5日 イオンシネマf.にて鑑賞
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