見出し画像

財布

今日、10年ぶりに財布を買った。

もともと物欲が薄く、自分のものは古くても使えればOKと思っている派なので、ボロボロだし買い換えた方がいいんじゃない?と親に言われてもずっと同じ財布を使い続けていた。今日買ったのも、嫁(カミングアウトいきます先月結婚しました)に買ってあげると言われたからで、特別意味があるわけではない。

新しい財布は良い。緑色で、形がなんか良くて、緑色で、手触りが良くて、緑色だから気に入っている。ただ、古い方の財布からお金とカード類を新しい方に移している時、少しだけ寂しい気持ちになった。そりゃ10年も使ったしな、と思い、ボロボロの二つ折りの財布を広げてみた。

10年かあ、と思った。やはり10年前から数年にかけての出来事をたくさん思い出した。高校生の当時、付き合っていた女の子から別れを切り出され、バス停横の縁石に座って長く話したこと(この日は文化祭でちょうど花火が上がっているところだった)。野球場の裏でタバコを吸っていた友達と大喧嘩したこと。パッと思い浮かんだのは、あとは本当にくだらない記憶ばかりで、野球部の先輩が「これ超カッケーだろ」と言いながら、大量の緑の羽根を貼り付けたグローブを見せびらかしてきたこと。高校からの帰り道は友達と永遠にコントをしていたこと。昼休みに、じゃんけんで負けたら即興で一発ギャグをするという地獄のゲームをしていたこと。それを見ていた担任に褒められたこと(なんでだっけ?)。あと黒板消しでフェンシングとかしていたこと。まだたくさんあるけど、嫌なことは鮮明に、くだらないことはぼんやりと記憶の奥に眠っている。10年覚えてたら今後もう忘れなさそうなものだけどどうなんだろう。忘れない方に期待しよう

10年間思い出を共にした財布をすぐに捨てるのは抵抗があるので、しばらくは机の上の壁に磔にすることにした。ただ嫁にバレたらすぐ捨てるし、朝起きたら「なんで使わない財布を磔にしてんだ」と自分で思う可能性が高いので、2日以内に捨てると思う。10年間ありがとう。

新しい財布、緑色で良すぎる!






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?