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THE HARDBAIT #009 「この世に“ダメなルアー”など存在しない」

ハードベイト限定トーナメントH-1グランプリ」を立ち上げ、アマチュアからバスプロまでこぞって参加する一大ムーブメントに育て上げた鈴木美津男さん。さまざまなタイプの選手と出会うなかで、以前から気になっている点があるという。

鈴木「たとえばジャークベイトを投げる人は、大半が2ジャーク+1ポーズ。似たようなリズムでロッドワークを刻んでいる。それが基本だと教わったのかもしれませんが、ノンストップで連続ジャークしたっていいはずでしょ? 誰も試していないアクションのほうが効くかもしれない

ここには、ロッドワークの話だけに留まらない問題提起が含まれている。あなたはどのような基準でルアーを選んでいるだろうか。SNSの評判? ランキング? 新製品だから? 他人が「釣れる」と評価したものが、本当に優れたルアーだといえるのだろうか

昨年、鈴木さんはすでに廃盤になった「リアルベイト」を利根川水系でひそかに愛用していた。このルアーが発売された10年以上前は理解できていなかったが、ビッグベイト系がローテーションの一角を担うのが普通になった現在の観点で使い込んでみると、新たな出しどころが見えてきた、とのこと。

鈴木「結局、ルアーが威力を発揮するかどうかは使い手しだいなんです。かつてシャッドラップが流行ったころにも、あとから登場したバッシングシャッドが『似た系統だけどあっちは釣れない』と言われていた。アクションを比べると前者のほうがタイトで、いかにも釣れそう。ただ、ちょっと濁ったときなんかは、後者の大ぶりな泳ぎが効いたりもした。そういうことを自分で考えて、ひとつひとつ試してみることが大切だと思う

バスフィッシング用のルアーには星の数ほどのラインナップがある。名作と呼ばれるロングセラーの陰で、短命に終わって消えていくアイテムも無限に存在する。だとしても、それはけっして「ダメなルアー」だからではない。そもそも「ダメなルアー」なんてものは存在しない、というのが鈴木さんのモットーだ。

鈴木「むしろみんなにダメ扱いされているもののほうが、状況にマッチしたときには唯一無二になる可能性がある。だって、ほかに誰も投げていないわけだから。僕がハードルアー主体のスタイルになったのも、そういう要素があるからですね。トーナメントでほかの選手とエリアがバッティングしても、選ぶルアーやアプローチが少し違うだけで釣り勝てる。他人のすぐうしろを流しているのに自分だけボコボコに釣れたら、してやったり! って感じがするじゃないですか(笑)」

記事&写真 水藤友基

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