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THE HARDBAIT#015, #016
「ブレイク下をカバーするバイブレーションの活用術」
どこのフィールドでも投げるアングラーが減ったと言われる“バイブレーション”というジャンル。ひと昔前は「とりあえずバイブ」といったノリで多用される典型的なサーチベイトだったが、現在ではすっかり存在感が薄くなった印象は否めない。
高橋「15年くらい前の牛久沼では、移動中にとりあえずバイブをドラッギングして、適当に沖を引くだけでもけっこう釣れてましたよ。最近は巨大なレンギョのスレ掛かりが増えたりして使う人が減ってますが、僕にとっては不可欠なルアーのひとつです」
高橋一夫さんがホームの牛久沼でバイブレーションの必要性を感じるタイミングのひとつが、まだ水温の安定しない早春、いわゆるプリスポーンの時期だ。
高橋「自分のなかで季節感のバロメーターになるのが東谷田川。たとえば岬状に張り出している部分をチェックして、すでにシャロー側に差しているのか、やや沖側にポジショニングしているのかなどを見ていきます」
まず選ぶのはシャロークランクで、“LC 1.5”や“LC 1.5 SSR”などを地形や水深に応じて巻いていく。この段階で反応があれば、バイブレーションに変える必要性は低いだろう。ルアーをボトムに近づけなくても、中層を通すだけでアグレッシブに食ってくれる状態と考えられるからだ。
高橋「めぼしいエリアをチェックして、クランクに反応がなければ、ブレイクの深い側にきちんとルアーを送り込むためにバイブを使います。ゆっくり巻きながらレンジを下げてもいいし、リフト&フォールで落とし込んでいくのも効きますね」
このとき、ブレイクの底質が硬いのであればミドルダイバーやシャッドでもいいだろう。同じ牛久沼でも、西谷田川では“LC1.0DD”や“クラッチDR”などをよく使うという。しかし東谷田川はブレイクといっても泥底のエリアが多いため、バイブレーションのほうがスタックしづらく、手返しも向上するのだ。
高橋「リフト&フォールで使う場合は、アクションの違う2タイプを試して魚の反応を見ることが多いですね。“LV”シリーズはやや細身のシルエットで、ストンと鋭角的に落とすことができる。大森貴洋さんがプロデュースした“LV RTO”シリーズは、体高があってボディーにも厚みがあり、ヒラヒラと揺れながらシミーフォールするのが特徴です」
近年、リフト&フォールによるアプローチをメタルバイブで行なうアングラーが多いが、それよりもフォールスピードを抑制できるのがバイブレーションの持ち味。また、特にマッディウォーターではバスに発見されやすくなるラトル音の効果も見逃せないと高橋さんは考えている。
高橋「深いレンジだけでなく、水深数十cm程度の砂底のシャローを速巻きで探るときなどは“LV100”が扱いやすいですね。H-1グランプリの帰着間際に、会場のすぐ前で“LV RTO 100”をリフト&フォールしてリミットメイクできた経験も(笑)。アイデア次第でまだまだ出番がある、それがバイブレーションだと思います」
「スポーニングの諸段階を考える」
バスの産卵行動に関してはアングラーによって意見の異なる部分も多く、「諸説あります」というのが実際のところ。で今回は、40年近くに渡って関東のさまざまなフィールドを経験してきた高橋一夫さんの意見を紹介しよう。
高橋「まだバスたちがシャローに上がるかどうか微妙な段階、いわゆるプリスポーンの時期には、バスが活発に捕食行動を行なっているかぎり、ハードベイトでテンポよく探るのが手っ取り早いと思います。ただし“プリのメスには☓☓のルアーが効く”といったセオリーには、あまり捕われないほうがいいですね」
それはなぜか? 3〜4月ごろはまだ天候が安定せず、三寒四温で急激に水温が下がることも多い。霞ヶ浦水系や牛久沼のようなマッディシャローでは、冷たい雨が注ぐと一晩で5℃以上も低下することさえある。
高橋「前日までは浅いレンジでクランクやスピナーベイトに激しくアタックしてきたのに、冷えてまったく反応が消えてしまう。かといって、一段下を探ってもダメなことが多いですね。冷えた水がブレイクの下側に入り込むから、バスもベイトフィッシュも深いほうに逃げ込めない。浅いところでショック状態になっていたりするんです」
こんなときは、シャローで弱ったベイトを模して、フローティングジャークベイトのトゥイッチ&浮上アクションがハマったりする。また朝は巻き物に無反応でも、水温の上がる午後からチャンスが増えることも多い。「早春はコレ」と決めつけず、前日までのコンディションを考慮して柔軟に対応したい季節だ。
高橋「その後、オスがシャローに差して産卵の準備を始めると、かなり食わせづらくなります。水のきれいなリザーバーなどで巨大なメスの目撃情報が増える時期ですね。ライトリグを使ってサイトで食わせる手もありますが、ハードベイトでは難しい。なので、この段階ではまだ完全にスポーニングモードになっていない個体、エサを追っているちょっと小ぶりのバスに期待するしかないかな、と思います」
オスとメスがペアになって産卵が行なわれたあと、メスは縦ストなどに寄り添って体力が回復するのを待つ。いわゆるアフタースポーンの状態だ。巻き物を果敢に追うような状態ではないため、水面でスローに誘う釣りがハマりやすい。
高橋「特に牛久沼では、1年でもっともデカバスが釣りやすい時期ですね。ザリガニも活発に動く時期ですが、バスはガマやアシのアウトサイドに浮いていることが多いので、メインベイトは小型のギンブナ。“サミーバグ”のような、フナのシルエットを意識した大きめのトップウォーターを使ったりします。回復して動けるようになったあとは、やはり波動がフナっぽいシャロークランクも効果的です」
なお、卵を生んだあとにいったん待機して、2回めに備える「半プリ」という状態のメスがいる……という説もあるが、高橋さんは信憑性が低いと考えている。
高橋「昔、トーナメントでさんざん叩かれたあとのスポーニングエリアを見たことがあるのですが、あっというまにコイやギルが入ってきて卵を食ってしまいました。バスの個体数を守るためにも、ベッドを守っているオスをねらうのは極力やめたほうがいいですね」
記事&写真 水藤友基
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