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THE HARDBAIT #001 「晩秋におけるエリアの選定」

“ハードベイトは釣れない、出番が少ない、活性が高いときしか食わない”

今回の取材写真

そんな既成概念を打ち破ってきたのが“利根川親父”こと鈴木美津男だ。多くのバスアングラーがソフトベイトのフィネスに傾倒していた十数年前から、ホームグラウンドの利根川を中心に、独自の「ハードベイト術」に磨きをかけてきた。

その後、2011年にはトーナメントプロデューサーとして「H-1グランプリ」を企画。アマチュアの大会として発足したにも関わらず、しだいに全国規模の注目を集め、一大ハードベイトブームを巻き起こした。

このシリーズ「THE HARDBAIT」では、鈴木美津男をはじめとするハードベイトの使い手が登場。さまざまな実践的ノウハウをお伝えしていく。

初回のテーマは「晩秋におけるエリア」。この時期、鈴木美津男は利根川におけるトーナメントでしばしば支流をメインエリアに設定し、好成績を残してきた。

魚のアベレージサイズなどの諸条件を考えると、利根川本流のほうが圧倒的にクオリティーが高いのは周知の事実。それにひきかえ、支流域は浅くて冷え込みやすい。なぜ、わざわざそんなエリアを選ぶのか?

鈴木「利根川本流では、水温が低下するにつれて徐々にバスのレンジが下がっていきます。その要因のひとつは、エサのベイトフィッシュが深い場所に落ちていくから。イナッコ(ボラの幼魚)が絡むタイミングならシャローでいい釣りができたりもするんですが、基本的には深めのレンジでボトム付近にいるベイト(カマツカ、ツチフキなど)を食うことが多い」

このような状態になると、たとえば水深3〜5mレンジの沈みものやストラクチャーをソフトベイトで丁寧に探る、といったパターンが有効になっていく。

鈴木「これをハードベイトで効率的に釣っていくのは難しい。ディープクランクなどでねらえるレンジではあるけれど、釣れても単発で終わることが多く、トーナメントの戦略に組み込めるパターンとしては成立しづらいんです」

そこで、ハードベイトを主体にした自らのスタイルに合致しやすいエリアとして「支流」を選ぶのだという。

鈴木「支流の長門川や将監川、根古名川に入ると、水深1〜2m以内の場所が大半を占めます。水質も、本流に比べて濁っていることが多い。こういうエリアのほうが、クランクベイトやバイブレーション、ジャークベイトやシャッドなどを使ったときに、魚との遭遇率を高めやすいんです」

いわば利根川の支流は、霞ヶ浦や牛久沼のような「マッディシャロー」と似たシチュエーション。対する利根川本流は「クリアリザーバー」

もちろん、透明度が高くて水深があってもハードベイトの出しどころは存在する。ただし、どうしてもルアーセレクトの幅が狭められてしまう。だからこそ鈴木美津男は「ハードベイトの特質が最大限に生かせるエリア=支流」を選ぶのだ。

記事&写真 水藤友基


晩秋におけるエリア選定の取材で釣る利根川親父こと鈴木美津男
タフな中望んでいたサイズではないが、ナイスフィッシュ


鈴木美津男の洗練されたタックルセッティング
使い込まれたジャークベイトが物語る秋のルアー選択
使い込まれたロッドに、緊張感が走る

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