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THE HARDBAIT #002 「晩秋のクランク・ローテーション例①」

前回は、利根川水系をサンプルとして「晩秋になぜ支流域を選ぶのか」を解説した。では、そこで実際にどのようなルアーを選んでアプローチするべきか? 鈴木美津男さんの十八番であるクランクベイトを軸に、現実に即したルアーローテーションの実践方法を見ていこう。

今回の取材写真

取材を行なったのは11月上旬。日に日に水温が低下、まもなく15度を下回ろうとするタイミングだった。前半は利根川本流の要所をチェックするも、クリアアップしているうえに流れも出ていない。

鈴木「夜のうちに雨が降ったので濁りが入っていないか期待したのですが、ダメですね。おそらくバスは消波ブロックなどの沖の中層に浮いてしまっていると思います。濁りやカレントが発生していれば、魚のポジションももっと岸寄りになってハードルアーでも反応させやすくなるんですが」

そこで支流域の長門川・将監川エリアへ移動することに。長門川では強力なカレントが出ており、一見よさそうな雰囲気だったが「こういうときは上流の印旛沼から水質の悪い水が入ってくる(鈴木)」とのこと。細長い水路を通過して、さらに奥まった水域である将監川へ入っていった。

ここで鈴木さんが最初に選んだのは「LC MTO 0.7」。ボディー全長50mm、潜行深度0.5〜0.8mのシャロークランクだ。スクエアリップを備え、ボーン素材で浮力が高いタイプだが、カバークランキングを想定して選んだわけではないという。

鈴木「この将監川は、ナチュラルバンクが大半でブッシュやカバーが豊富です。そうしたピンスポットをタイトに釣っていくアングラーが多いのですが、僕がイメージしているのは『冷え込みはじめて、ちょっと落ちたところでじっとしている魚』。バンクを撃っているボートの真下にいるような魚をリアクションで反応させるイメージです」

ついつい岸際の障害物に目が行きがちだが、沖にも流木やオダ、沈みものなどが点在している。ボートポジションを少し岸から離して、比較的速めのリトリーブスピードでサーチしていった。

ちょっと落ちたところ」とはいえ、LC MTO 0.7を選んだことからもわかるように、ねらっているシチュエーションはそれほど深くない。なだらかに落ちていくシャローフラットや、ハンプ状に浅くなった沖のハードボトムなど1m以内がメイン。水温はまだ16〜17℃あり、バスはまだまだアクティブに動けるはず。急深のブレイクを舐めるようなクランキングは必要ない、と判断したわけだ。

記事&写真 水藤友基

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