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THE HARDBAIT#012

「3月の“沼”でシャロークランクを選ぶ理由」
今回は「早春の“沼”系フィールド」を想定した高橋一夫さんのアプローチを取り上げる。具体的には牛久沼・印旛沼で高い実績を上げてきた戦略だが、ほかのフィールドにも応用できる部分があるはずだ。

“沼”の最大の特徴は、なによりもベジテーションが豊富なこと。どこまでも続くアシのストレッチや、ガマが密生する風景をまのあたりにして、攻めあぐねてしまうアングラーも多い。

高橋「慣れないと変化が乏しいように感じるかもしれませんが、魚を探すうえでの考え方はほかのフィールドと変わりません。たとえば3月ごろ、冬と春との端境期であれば“ディープが隣接したシャロー”をねらうのが王道です」

三寒四温で天候が安定しないこの季節、温かいタイミングにはバスもベイトフィッシュも浅いほうへ差してくる。冷え込んだときにはレンジを下げ、一時的に安定した深みのあるスポットへと下がる。このような気象の変化に対応しやすいエリアを好むため、浅いだけの単調なシャローではなく、ブレイクが寄っているような場所にねらいを絞る。

高橋「冬になるとガマは枯れてしまうのですが、実は水中に根っこの株が残っているんです。3月ごろはまだ腐らずに硬いままなので、杭のような縦ストとしての役割を果たしてくれる。そういうものがブレイクの近くにあって、なおかつ岬状に張り出していたりすると、早春のバスの回遊ルートになりやすいですね」

ここを攻めるときの高橋さんのチョイスは、やはりシャロークランクだ。水生植物を攻めるならスピナーベイトのほうが扱いやすいのでは? と聞くと、

高橋「クランクベイトと比較したときに、バスを寄せるためのパワーが弱い印象があります。キャストごとに引っかかるほど密集した場所ではスピナーベイトも使いますが、最近の牛久沼や印旛沼はガマが減少傾向にある。クランクを通しやすくなっているんです」

使用するシャロークランクは、おもに2系統に分けて考えている。

春めいた天候が続いており、バスがアグレッシブでレンジも浅いと思われれるときは「LC1.0」または「LC1.5」。それでもボトムを叩きすぎるときは「LC1.5SSR」を結ぶことも。

対象的に、季節が冬に逆戻りしたタイミングで選ぶのが「FAT CB BDS3」。ルアーのボリュームを増すのが目的ではなく、レンジを下げるためのセレクトだ。使うエリアにもよるが、一般的なミドルダイバーではボトムを叩きすぎて扱いづらい。

高橋「ただし、コンディションのいい魚なら冷え込んでもシャローに残っている可能性がある。それをねらっていくなら『Fat CB B.D.S. Magic 2.2』がちょうどいいですね。レンジは浅いまま、波動が強すぎないクランクに変えることで、タフな状況でも口を使ってくれたりする。真冬のルアーセレクトと似た発想です」

記事&写真 水藤友基


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