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ボートレースとプロ野球の決定的な違い

実はこの記事を書く前、ボツにした記事がありました。タイトルは「まぜるな危険」。2023年3月17日蒲郡最終日3Rのリプレイ動画を見て書こうと思った記事でした。
そのレースに出場していたのは、131期の養成所リーグ戦の勝率が1位2位だった石渡翔一郎選手と石本裕武選手です。2人ともこの節ずっと調子がよく、対戦するのは2回目でお互いの出方もわかっているでしょうし、1着2着もあるのではと前日から思っていました。
でも2周目2Mで2番手の石渡選手が転覆、その時5番手だった石本選手が2着でゴールイン、石渡選手と2周目1Mで競り合った本命の選手は3着になり、3連単が16,520円という結果になりました。この2選手が、近い将来優勝戦に揃って出場する時も、きっと何か起こるだろうから楽しみだという記事を書くつもりでした。
でもボツになったのは、「レースの内容を伝えるのが難しいことがわかったから」です。

プロ野球の話をします。

乱筆お許しを

これは、私がファームの試合を観戦しながら書いたスコアです。2019年6月6日 ライオンズvsスワローズ戦で、野田昇吾選手は9回表の頭から登板、ファーストフライ・サードゴロ・レフトフライの3者凡退に抑え、裏の攻撃でサヨナラ勝ちしたので勝利投手になっています。
観客の中にはカメラを持った人たちも何人かいました。プロ野球はスコアをつけたり写真を撮ったりして、試合の記憶を保存することができて、共有もできます。試合経過をツイートする人も多いですね。

ボートレースはレースの記憶を保存・共有することが難しいと思います。でもそこが一番の魅力になっています。
仕事や家庭の都合でボートレースから何年か離れていても、再開すればまた以前と同じように予想を楽しむことができます。予想に必要な最近のデータは公式HPでチェックできるので、見ていなかった時期のレースを知らなくても構わないからです。また、グループでレース場にきた時、「皆が昔のレースの話をして話題についていけない」ということはありません。今行われているレースの話で盛り上がって、初心者も楽しめるでしょう。

逆にプロ野球は「記憶の共有」が楽しみの1つになっています。

このCMの中でお父さんは、娘に松井稼頭央監督が現役だった頃の話をしています。プロ野球が賭け事の対象でないのに観客数が多いのは、記憶を共有することでチームへの愛着がわき、応援そのものが楽しくなるからだと思います。

「記憶の共有」は試合やレースに関することだけではありません。例えば実在するプロ野球選手を主人公にした漫画の同人誌はたくさん出版されています。その漫画は、「主人公の選手の実際にあったエピソード(インタビューとかインスタの投稿とか)を、読む人全員が憶えていて、元になったネタがわかる」という前提で描かれています。ボートレースには「ファンに共有されているエピソード」がありません。なのでボートレースの同人誌には薄い本がありません。

このように、ボートレースとプロ野球には大きな違いがあります。野田昇吾選手が初1着になった時、ファンの反応は2通りでしょう。
ボートレースファン「○○戦目の水神祭おめでとうございます!」
プロ野球ファン「デビュー戦現地で見ました。3戦目にフライングした時はどうなるかと(中略)でも多摩川では(中略)常滑でも(中略)おめでとうございます!」
これからも私を含めたプロ野球ファンは野田選手の記憶を重ねながら、時に共有しながら応援を続けると思います。野田昇吾本(薄くないやつ)を作る人もいるかもしれません。その時は私にも一冊ください(財布パカー)。

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