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ナゴン教典

 春はぼのぼの。 
 ヨーヨー片手にアライグマ、シマリス、山際さんなど白々と集いて、みな殺気立ちたるも、悪い子はしまっちゃわれて、後には雲の低くたなびきたる。

 夏はヨルムンガンド。
 月見団子を皿に乗せて供物となす。月餅でも可。お菓子。闇もなほ、大蛇の従者多く行き違いたるも、一つ二つ皿に供物残りたるは、お菓子。飴なども、お菓子。いつまでも起きていると大蛇が来ますよなどと言はるるも、寝苦しく、ようやく寝入りたるも蚊帳蹴り落として、寝ぼけたるままもがき蠢く様などもおろかなり。

 秋はユーグレナ。
 識ある者の指して、終わり近うなりけるに、滋養豊富な食材とて、あるひは新しき生体燃料とて、えすでいじーずの切り札なりと。
「それってミドリムシですよね」
「ユーグレナです」
「つまりミドリムシですよね」
「虫ではありません。藻です」
 あはれなり。

 冬はつとめて。
 つとめてつとめてとびきり以外、いやだいやだのなのふう、と絆愛も歌ひたるは言ふべきにもあらず。霜のいと白きも、またさらでも、火など急ぎ起こしてください。我は布団から出る気にならず。いとつきづきし。つきづきしはサブスクにあらず。わろし。ワロス。

 日ぐらし硯にむかひてすずらず、手持ちぶさたに波打ち際のジオラマなど作りたるもおかし。おかし、魚河岸、アンドレ・アガシ。犬が西向きゃ尾は東なるは当然の比喩にあらず。たいていは巻くか、天を向くか、下向きに垂れ下がるものなれば、常識を語る者しばしば常識を知らず。不届千万、電話は二番、三時のおやつはお菓子。酌量の余地なしとて、終生素麺流しを申しつくものなり。一件落着。犬が狐なら東。

 すさまじきもの。
 大型台風。さういうことにあらず。ひくもの。作家ならんとして職を辞するもの。ひくわあ。うら若き女子に宛てて絵文字連なる電子手紙を送るもの。ひくわあ。転売屋。鳳梨の入り過ぎたる酢豚。大型犬に引き摺られて行く翁。別の日、二輪車に乗りて口笛など吹きたるも、犬、二輪車の周りを回りて綱絡ませ、よるべなく転倒する様などはいとあはれなり。飲食店に飾られし著名人の色紙が、いかに見ても店主の筆跡。遊戯王にて無双する大人。懐中怪物遊戯などは言うに及ばず。重ねて転売屋。一人一個限りに家族総出し、車に戻りて服を変え、帽子眼鏡で変装などして再び列に並ぶなど、いとすさまじき。それもまた転売屋仕草なれば。

 たゆまるるもの。
 仕事。日がな真面目に取り組みしものの気こそ知れず。継続は即ち疲労なり。最低限こそを至高となすべし。友あり、仕事が趣味などと言ふ、縁を切るが吉。

 にくきもの。
 イグびーえふしーなる文筆の催しにて、一度ならず二度までも我を打ち破りし奇怪なる発想のもの。名は言ふに及ばず。より一層のご活躍をお祈りします。また投稿上梓せし作品の評価にて、名乗らず、何処が如何とも語らず、ただ星一つを付けるもの。

 心ときめきするもの。
 お菓子。

 右のほおを打たれたら、向き直りざまにギャラクティカ・マグナムを、左のほおを打たれたらギャラクティカ・ファントムを放つべし。一撃で倒せ。

 国破れて山河あり。小銭足りずしてサンガリア。楽あれば苦あり。荷揚げればヒアリ。過ぎたるは及ばざるが如しと言はれたとて怯むなかれ。人、大は小を兼ねるとも言ふなれば。雨止んで人傘を忘るる。とかく人は時の流れに過ぎし日のことを忘れがちなものです。だがそれでよし。

 心あなづらるるもの。
 過去を振り返り、過去に生きるもの。

 智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。どうしろっちゅうねん。小春日和の秋、若しくは、小秋日和の春など、草を枕に土手に寝転びて、子供の頃は空を飛べた、心の翼広げ何処へだって行けた僕だったなどと思ふ。何方を向いても世間、何処まで行っても世間。だが汝、志を閉ざすことなかれ。この世はうたかた、生きて死ぬるは一瞬の幻なれば、遊びをせんとて生まれけん、何方を向いても東京ディズニーランド、何処まで行ってもユニバーサル・スタジオ・ジャパン、行き着く先は浄土という名のひらかたパーク。幻影に惑わさるることなかれ。目を閉じて見えるものを信じよ。他者の言葉を信ずるなかれ。夢に現れしものの言葉を信じよ。
 くとぅるふ・ふくだん。


 
 


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